ワークショップでトイレの大切さを理解
内戦のため国内外に逃れていた難民・避難民の帰還が続くスーダン南部でピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、井戸とともに、トイレの建設を進めています。完成したトイレを地元に引き渡すときには、住民たちを対象に、トイレの大切さや管理の仕方などを伝えるワークショップ(研修)を開催しています。その効果もあり、住民たちの保健衛生についての理解も向上しているようです。
南スーダンでは以前はトイレを使う習慣は一般的ではありませんでした。しかし、今年に入ってからもコレラが流行するなど衛生状態の改善が課題になっています。また難民キャンプなどでトイレを使う生活に慣れた人も多く、トイレの建設が難民たちの帰還を促すことも期待されています。こうした背景からPWJは、人が多く集まる公共の場所にトイレをつくることにし、春までに市内の小学校、警察署、刑務所と、郊外の診療所の計8カ所にトイレを設置しました。トイレの引き渡しに合わせて4月中旬から、コミュニティや学校ごとにワークショップを開催しています。
小学校でのワークショップ参加者と進行役の専門家
(C)PWJ/YukariNISHINO
ボー市内の小学校でおこなわれたワークショップには、校長先生をはじめとする先生、児童、保健省職員など30人が参加しました。スーダン人の保健衛生の専門家が進行役(ファシリテーター)となり、身近な例を挙げながら、衛生知識やトイレの使い方について説明していきました。参加者も積極的で、「どうして牛やヤギなどの家畜と一緒に寝ると病気になるのか」や、「家庭でできる下痢の治療法は?」などの質問が出されました。
しゃがみこんでトイレの使い方を試す
(C)PWJ/YukariNISHINO
トイレの大切さについても理解が広まってきているようで、「トイレがあるとどうしていいのか」という質問には、「病気のまん延を防ぐ」という答えが出ていました。
印象に残ったのは、トイレの効果についての質問に、「トイレが近くにあれば、我慢する時間が短くてすむ!」という声が出たことです。自宅にトイレがなく、木々もまばらで見通しが非常によいこの辺りでは、女性の夜間のトイレの問題はとくに切実です。安全のことはもちろん、我慢しながら遠くまで行って用を足すという習慣が健康に与える影響も指摘されています。
PWJでは、トイレ設置とワークショップが、地域の保健衛生の向上に役立つことを期待しています。
きれいな水の大切さを知る=ボー近郊のワークショップで
(C)PWJ/YukariNISHINO