【南スーダン】給水衛生環境を整えて安全で尊厳ある避難生活を提供します~ジュバの国内避難民キャンプで給水衛生支援を実施~
「もしピースウィンズがいなかったら、たくさんの病気にかかっていたかもしれません。もしピースウィンズがいなかったら、私たち女性は、レイプや殺害などの命の危険にあったでしょう。」(Rさん、女性、28歳、ドンボスコ国内避難民キャンプ)
「ピースウィンズは、レイプや病気、襲撃などといった脅威から私たちの命を守ってくれました。感謝しています。」(Aさん、女性、26歳、ドンボスコ国内避難民キャンプ)
ピースウィンズが長く活動してきた南スーダン共和国の首都ジュバにあるドンボスコ国内避難民キャンプに住む人々から職員がいただいた言葉です。
ジュバ郡は、南スーダン国内で国内避難民の数が最も多い郡の1つです。国内避難民キャンプの居住環境は決して良いものではありません。安全な水へのアクセスが難しく、人々は手掘りの浅井戸や川から水を使用しなければならず、また衛生的なトイレや水浴び場がなく、ごみも散乱しています。こうした状況を受け、ピースウィンズは、ジュバ郡にある、紛争から逃れてきた人々が身を寄せる3つの国内避難民キャンプ(ジュバ国内避難民キャンプ、ドンボスコ国内避難民キャンプ、マハド国内避難民キャンプ)にて、2021年10月末より給水衛生支援を開始し、2022年10月末に活動を終えました。この記事では、1年を通して行ってきた活動と人々からの声を、伝えたいと思います。
給水所の修理の様子(マハド国内避難民キャンプ)
給水所とハンドポンプ式井戸の修理
マハド国内避難民キャンプでは壊れた給水所を、ジュバ国内避難民キャンプとドンボスコ国内避難民キャンプではハンドポンプ式井戸を修理しました。もともと数が少ない給水所やハンドポンプ式井戸は、多くの人が使用するために老朽化しやすく、正しく、丁寧に使わないと、再び壊れてしまいます。このため、ジュバ国内避難民キャンプとドンボスコ国内避難民キャンプでは、水管理委員会を設置し、研修を実施し、正しい使用方法を周知し、故障の予防、そして修理方法を伝えました。これにより、事業終了後もハンドポンプ式井戸が壊れたときに、自分たちで修理できるようになりました。水管理委員会には水汲みの役割を通常担う女性にも参加してもらうことで、女性の声が反映されるように工夫しました。人々からは「女性は男性よりも水に関する問題を知っているため、女性が参加することは良いと思う」との声が聞かれました。
研修を受けた水管理委員会がハンドポンプ式井戸を修理(ドンボスコ国内避難民キャンプ)
水管理委員会の女性も維持管理に参加(ジュバ国内避難民キャンプ)
②共用水浴び場と共用トイレの修理
建設した共用トイレ(ジュバ国内避難民キャンプ)
国内避難民キャンプの人に話を聞くと、これまで壊れていたりトイレのピットが満杯だったために安全に使える水浴び場やトイレがなく、人々は野外で用を足したり、人目を避けて夜に野外で水浴びをしていたそうです。共用水浴び場とトイレの修理を行うことで人々の安全を確保し、衛生環境を改善しました。
「ピースウィンズはたくさんのことを教えてくれて感謝しています。私は2014年にドンボスコ国内避難民キャンプに来ましたが、その時はトイレも水浴び場もなく、女性も男性も危険に晒されていました。けれど、ピースウィンズがドンボスコ国内避難民キャンプでトイレや水浴び場、井戸の修理、廃棄物の収集やトイレの定期汲み取りなどの取り組みを行った結果、私たちに活力を灯してくれました。」(Jさん、男性、45歳、ドンボスコ国内避難民キャンプ)
ドンボスコ国内避難民キャンプでは、Jさんはじめたくさんの人びとから、水浴び場やトイレが提供され、覆われた空間になったことで安心して使うことができているといった声が寄せられました。
③トイレの定期汲み取り・固形廃棄物の輸送
マハド国内避難民キャンプとドンボスコ国内避難民キャンプでは、汲み取り式の共用トイレのピットが満杯になっていたために使用できず、臭いも発生し不衛生的な状況でした。また、ごみが散乱し、感染症の蔓延リスクが高かったため、この2つの国内避難民キャンプにてトイレの定期汲み取りと固形廃棄物の輸送を行いました。固形廃棄物の輸送では、国内避難民の人びとが参加し、一緒に活動することで身の回りをきれいにする習慣が定着するように働きかけました。
国内避難民の人びとがごみ収集に参加してくれました(ドンボスコ国内避難民キャンプ)。
④衛生啓発活動
水を蛇口や井戸など安全な給水源から汲めるようになっても、衛生的に保管できなくては意味がありません。また、水浴び場やトイレに関しても、修理するだけでなく、それらを使用する人びとの衛生知識の定着を図ることが大切です。マハド国内避難民キャンプとドンボスコ国内避難民キャンプでは、コミュニティ衛生啓発委員を選び、他の人に衛生知識を伝えられるようにしました。
コミュニティ衛生啓発委員は、各世帯を回って、手洗いやごみ処理の仕方、家の掃除など、衛生的に暮らすために必要なことを伝えました。またピースウィンズが修理した水浴び場や、キャンプの中にあるマーケットにも赴いて、衛生啓発メッセージを伝えました。メッセージを受け取った人びとに話を聞くと、コミュニティ衛生啓発委員から聞いた衛生知識を、家族や友人、近所の人、時に教会やコミュニティでの議論の場で共有したことを教えてくれました。また、「衛生啓発活動が行われる前と比べて、下痢やコレラなどの病気が減少しました」、「衛生について知ることができました」、「爪を短く切るようになりました」、「服や体を洗うようになりました」といった声が聞かれ、衛生啓発メッセージを受けて人々の生活習慣が変わったことがわかりました。
活動終了時に、人びとから活動に対する意見を聞き取るピースウィンズスタッフ(ドンボスコ国内避難民キャンプ)。
本事業を終了の際には、各キャンプの代表と、国内避難民の人たち自らがキャンプ内の衛生環境を維持していくための方法について話し合い、例えばマハド避難民キャンプの代表の方からは「住んでいる避難民からの寄付を募って、給水所、共用水浴び場やトイレの修理などを行えるようにしたい」との声が聞かれ、また長く活動してきたピースウィンズへの感謝の言葉もありました。長年の支援活動を通して、各避難民キャンプの人々と信頼関係を築いてきました。ピースウィンズは、引き続き南スーダンの人々に寄り添い、少しでも生活環境の改善につなげられるよう活動してまいります。
本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金と、みなさまからのご寄付によって行うことができました。ありがとうございました。今後とも、温かいご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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