【南スーダン】スーダン危機への対応を開始
2023年4月に勃発したスーダン危機を受けて、南スーダン共和国(以下、南スーダン)には、スーダンで避難生活を送っていた南スーダン難民やスーダン人をはじめとしたスーダンからの難民が逃れてきています。7月28日時点で、南スーダンに戻ってきた南スーダン帰還民の数は約179,600人、スーダン人をはじめとした難民の数は約17,300人*1となり、今もなお増え続けています。この緊急事態を受けて、ピースウィンズ・ジャパン(以下、ピースウィンズ)は国連難民高等弁務官事務所(以下、UNHCR)とともに、中央エクアトリア州ジュバ郡にあるゴロム難民居住地区にて、支援を開始しました。
(*1参照: UNHCR and IOM, Population Movement from Sudan to South Sudan)
●着の身着のまま逃れてきた人びと
スーダンと国境を接する南スーダン北部は、安全な場所を求めてスーダンから逃れてくる人びとの南スーダンへの入り口になっており、ピースウィンズの活動地の一つであるアッパーナイル州もその北部に位置します。国境を越えて同州レンク郡へ入った人びとのうち南スーダン帰還民は、親せきや知り合いを頼りに元いたコミュニティに戻るか、支援団体からのサポートを受け同州マラカル郡にある避難民キャンプなどに移動しています。対してスーダン難民は同州マバン郡や他の州にある難民キャンプへ移動しており、今回、ピースウィンズが活動するジュバ郡ゴロム難民居住地区もそのひとつです。
これらの人びとの多くは、着の身着のまま逃れてきています。2023年7月にアッパーナイル州メルート郡に設置された難民が一時的に寝泊りできる場所(トランジットセンター)にて、国連機関や国際NGOなどにより合同で実施された調査では、持てるだけの身の回り品を持って逃げてきた人びとが、支援団体によって配られたプラスチックシートのテントで避難生活を送っていました。ですが、プラスチックシートのテントでは、乾季は暑さがこもり、雨季には雨風に苛まれ、安全に心地よく暮らせる環境ではありません。ゴロム難民居住地区で避難生活を送る人も同じ状況です。
避難してきた人びとへの聞き取り調査の様子(パルーチ郡トランジットエンター)
雨季に入り、敷地内にできた水たまりからは蚊が発生し、
マラリアの罹患リスクや水系感染症の蔓延リスクが高まる
(パルーチ郡トランジットセンター)
●劣悪な水衛生環境
2023年6月、ピースウィンズはUNHCRと共にゴロム難民居住地区にて調査を行いました。エチオピアからの難民を受け入れるため2010年に設置された同難民居住地区は、スーダン危機前は約2,000人前後だった人口は、同危機後には6,000人を超え、今もなお人口が増え続けています。
ゴロム難民居住地区入り口に設置されたサインボード
難民居住地区内の人口が増えた今、課題となっていることの一つが水衛生環境です。既存の給水施設の多くは壊れており、また人口に対し数が足りていません。このため、使用可能な数少ない給水施設に多くの人が集まり、自分の番が来るまで長時間待たなくてはならないほか、各施設から汲むことのできる水の量も足りていません。
衛生面においても、トイレや水浴び場の数が不足しており、人びとは野外での排せつや水浴びを余儀なくされています。既存のトイレや水浴び場は、木材とプラスチックシートでつくられた簡素なつくりで、安心して使えるとは言いがたいものです。トイレの不足は、難民居住地区内の医療施設や小学校でも同様に深刻な問題となっています。
安全な水へのアクセスやトイレなどの衛生施設が不足している状況は、劣悪な衛生環境を作りだし、感染症の蔓延のリスクを高めます。現地では、一刻も早い水衛生支援が求められています。
プラスチックシートで建てられたテントが並ぶゴロム難民居住地区
衛生啓発活動を担う人びとを難民の中から選ぶため、スーダン難民のリーダーと打合せ
(ゴロム難民居住地区)
●基本的な水衛生環境の整備を
こうした水衛生環境を整え、人びとが安全に尊厳ある生活を送ることができるように、ピースウィンズは、給水施設の設置や修理、トイレの建設、また人びとが正しく給水施設やトイレを使い、衛生的な生活を送るよう行動を促していくために、衛生啓発活動の実施も予定しています。今後の活動は、SNSなどで報告していきます。
スーダン危機の継続に伴い、国連は緊急対応計画の改訂を予定しており、南スーダン国内でも今後さらにスーダン危機への支援の必要性は高まっていくことが想定されます。
ひとりでも多くの人に、必要な支援を届けるために、みなさまの温かいご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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