【南スーダン】スーダン難民の尊厳ある生活を確保するために

「2023年6月にスーダン北部の家を離れました。爆撃で家が被災し、2人の息子を亡くしました。（南スーダン）ジュバにたどり着くまで、たくさんのことがありました。持ち物を盗まれたりもしました。」そう話してくれたのは、スーダンから南スーダン共和国（以下、南スーダン）に逃げてきたザフラさん（仮名）。
 

ゴロム難民居住地区：人びとはプラスチックシートのテントで暮らしている

 
2023年4月に勃発したスーダン危機を受けて、南スーダンには、スーダンで避難生活を送っていた南スーダン難民やスーダン人をはじめとしたスーダンからの難民が逃れてきています。8月15日時点で、南スーダンに戻ってきた南スーダン帰還民の数は約220,000人、スーダン人をはじめとした難民の数は約17,000人*1となり、スーダンからの難民を受け入れている中央エクアトリア州ジュバ郡にあるゴロム難民居住地区でも、冒頭で話をしてくれたザフラさんを含む多くのスーダンからの難民が避難生活を送っています。エチオピアからの難民を受け入れるため2010年に設置された同難民居住地区は、以前は約2,000人前後だった人口が、スーダン危機後には6,000人を超えました。この緊急事態を受けて、ピースウィンズ・ジャパン（以下、ピースウィンズ）は国連難民高等弁務官事務所（以下、UNHCR）とともにゴロム難民居住地区にて、支援を開始しました。
（*1参照： UNHCR and IOM, Population Movement from Sudan to South Sudan）
 

スーダン・ダルフール地方から逃げてきた子どもたち

 
難民居住地区内の人口が増えた今、喫緊の課題となっていることの一つが水衛生環境です。
「水の量は十分でなく、給水施設はいつも水を汲みに来る人で混み合っています。また、トイレの数も足りず、人びとは茂みに排泄しに行っています。」ザフラさんがそう話すように、ゴロム難民居住地区にある既存の給水施設の多くは壊れており、人口に対し数が足りていません。さらにトイレの不足により、人びとは野外での排せつを余儀なくされています。また既存のトイレや水浴び場は、木材とプラスチックシートでつくられた簡素なつくりで、安心して使えるとは言いがたいものです。こういった給水衛生環境を改善するために、ピースウィンズは給水施設の設置や修理、またトイレの建設をはじめました。さらに、ただ衛生設備を整えても、トイレの使用など衛生行動への意識がなくては衛生環境が変わらないことから、難民の中から衛生啓発員を選び、衛生啓発活動も開始しました。
 

トイレ建設に必要な資材を運ぶ様子

修理した給水所には早速人びとが水を汲みに来ている

 
ザフラさんは、「ピースウィンズの活動によって、きれいな水へのアクセスが確保され、同難民居住地区内の衛生環境も改善することを期待しています」と話してくれました。ザフラさんはじめゴロム難民居住地区で暮らす大勢の難民の人びとの期待に応えるために、ピースウィンズは同難民居住地区にて難民の人びととともに水衛生支援活動に取り組んでいきます。
 

ゴロム難民居住地区：人びとはプラスチックシートのテントで暮らしている

 
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