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私たちの活動

【南スーダン】洪水対策で気候変動による影響を軽減

南スーダン共和国(以下、南スーダン)では気候変動の影響も受け、過去3年連続で豪雨による洪水が発生しています。避難民や難民を多く受け入れるアッパーナイル州はこの洪水で被災し、家屋や給水設備、農地が被害を受けました。一方で、中央エクアトリア州には、同じく洪水で被災した近隣のジョングレイ州から避難を余儀なくされた人びとが逃れてきています。今後再び洪水が発生する可能性も十分にあり、洪水被災地であるアッパーナイル州では被害を予防するための支援が、避難民を受け入れている中央エクアトリア州では身を寄せる避難民の増加による劣悪な衛生環境を改善する支援が求められています。ピースウィンズ・ジャパン(以下、ピースウィンズ)は、この支援の必要性に応えるため、アッパーナイル州メルート郡にあるメルート避難民キャンプとホストコミュニティにおいては「防災を考慮した支援」を、中央エクアトリア州ジュバ郡マンガラのマンガラ避難民キャンプとホストコミュニティにおいては「避難民の衛生環境を整備する支援」に取り組みました。

■洪水対策をして、被害を防止

上述の洪水では、家屋やハンドポンプ式井戸が浸水し、破損する被害が出ました。同じような被害を繰り返さないため、豪雨時に雨水が家屋のある地域に流れ込まないよう、排水路を整備する必要がありました。しかし、くわやシャベルなど必要な道具が不足していたために、十分に整備を進めることができていませんでした。そのため、ピースウィンズがまず取り組んだのは、排水路を整備するための道具の配付です。洪水で被災したメルート避難民キャンプとホストコミュニティのリーダーへ道具を配付し、リーダー主導で住民を動員し、道具を使用して、排水路の整備を行いました。その結果、その後に迎えた雨季では、豪雨による家屋浸水を免れることができました。

配付した道具を受け取ったコミュニティの人びと。配付後、雨の度に道具を使って排水路を整備しています

次に取り組んだのは、給水設備の被災を防ぐため、コミュニティにある壊れて使えなくなっていたハンドポンプ式井戸を、底を高くして洪水対策型へ改修することです。しかし、改修だけではありません。改修後は人びとが自ら維持管理できるようにならなければならないため、コミュニティから選定した井戸管理委員会に対し、故障の予防方法、簡単な修理の仕方、維持管理に必要な資金の集め方などを学ぶトレーニングを実施しました。トレーニングの一環として、井戸管理委員会の技術者は改修作業に携わり、ハンドポンプ式井戸の仕組みを学ぶ実践にも取り組みました。

井戸管理委員会の技術者が改修作業に携わる実践を交えた研修を実施
底を高くすることで豪雨時に浸水しないようにし、階段には手すりを付けて利用しやすいように工夫

さらに定期的な排水路の掃除を実施したり、洪水被災時には衛生環境の悪化による感染症蔓延のリスクが高まることから、普段からの衛生行動を習慣づけるために、避難民キャンプとホストコミュニティから選んだ衛生啓発委員による家庭訪問やマーケット訪問を通じて衛生啓発活動を行いました。

メルート郡パルーチのマーケットで衛生啓発活動を行う様子

■避難民の衛生環境を改善

洪水による避難民が身を寄せるマンガラ避難民キャンプでは、人口が増えたものの、それを支援する団体がおらず、トイレの不足や衛生知識の欠如が野外排泄をはじめとした不衛生な環境を招いていました。再び洪水が発生すれば、避難民がさらに流入する可能性があり、こうした劣悪な衛生環境下で人口が増えれば、人びとの衛生環境がより悪化するリスクが高まります。このため、ピースウィンズは複数の世帯が共有するトイレの建設と、人びとがトイレを正しく清潔に使用し、加えて衛生行動をとるようにするための衛生啓発活動に取り組みました。
世帯用の共有トイレの建設では、人びとが所有意識を抱き、自分たちでトイレを維持管理できるようにするため、ピースウィンズはトイレの建設に必要なスラブ、プラスチックシート、釘を配付し、人びとが自ら建設できるよう指導しました。建設の際、現地で簡単に手に入る枝木なども駆使します。まずはピットと呼ばれる穴を掘り、その上にスラブを置いて、周囲を枝木など使ってプラスチックシートで壁を作ります。スラブはプラスチック製なので軽く、ピットがいっぱいになっても、新たにピットを掘ってスラブを移動させれば、トイレを使い続けることができます。

配付したスラブやプラスチックシート、釘を受け取った人びと
完成した世帯用の共有トイレ
人びとの中には、プラスチックシートを木材で囲み、より安全なトイレに改良した人も

人びとが建設したトイレを正しく安全に使い、手洗いや定期的な掃除など、衛生環境を維持する習慣を身に着けられるよう、こちらでも避難民キャンプとホストコミュニティから衛生啓発委員を選び、家庭訪問や人びとが集まるマーケットなどで衛生啓発活動を行いました。

国連によれば、南スーダンは、気候変動による影響を受けるリスクが高い国のひとつに挙げられています。被災を軽減する支援、また避難民が身を寄せる生活環境を改善し、被災時に懸念されるリスクを下げる支援が、今後も求められています。その支援の効果を持続させるためには、今回のような人びとを巻き込んだ支援の取り組みが、重要です。ピースウィンズは、南スーダンが抱える複合的な人道危機の一つ、気候変動による影響も注視し、南スーダンでの活動に取り組み続けます。

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