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私たちの活動

手洗いの大切さ -石鹸一つで救える命-

料理や食事をする前に手を洗う。トイレに行った後は手を洗う。こうしたことは日本人にとってごく普通の習慣ですが、南スーダンの避難民キャンプではそうとは限りません。
キャンプ内では簡単に水が手に入らないからです。
キャンプ内では、各家庭に水道が引かれていないので水を得るために給水所まで小さなタンクを持っていかなければなりません。そうすると人々は「時間をかけて手に入れた水を、わざわざ手洗いのために使うなんてもったいない」と考えます。
トイレの横などに手洗い場があったとしても、「そこまで行くのが面倒」と言って手を洗わないこともあります。
トイレですら、キャンプ内に設置された公共トイレを使わずに、自宅テントの外で済まし、そのまま手を洗わずに生活をしているのです。
こうした結果、衛生状態が悪化し、下痢や食中毒などでキャンプ内の人口の5人に3人が腹痛で苦しんでいました。特に小さな子どもは免疫力が低いため、下痢が原因で命を落とすこともあります。
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、キャンプで生活する人の衛生に対する知識と態度を向上してもらうため、現地の団体と協力しながら活動しています。今回は、衛生普及員の育成と衛生ワークショップについて紹介します。
衛生普及員は、キャンプ内で実際に生活を送っている避難民自身が任命され活動を行います。
具体的には、まず4部族それぞれのコミュニティから男女5名ずつを選出してもらいます。
次に普及員となるのに必要な研修を行います。研修では、講義形式と実際に道具をつかってみながらの両方の手法を使い、3日間かけて、衛生の基本的な情報や知識、および正しい知識をどう広めるかなどについて学びます。

衛生普及員の研修2
写真:衛生普及員の研修の様子

研修後、普及員はキャンプ内の各家庭や市場の食堂などを一軒一軒まわり、身の周りや家庭、食べ物の衛生について指導しています。
また、キャンプ内のクリニック、集会所、給水所、学校、市場にも出向き、ワークショップ形式で「手洗いの大切さ」をはじめ、「トイレの使用促進」「トイレの管理方法」「下痢になる経緯」などを、イラストが描かれたポスターを見せながら説明しています。
週2回開催されているこのようなワークショップを通じ、衛生的な生活と水の使用法などについて人々の理解を促進しています。このワークショップには3月中旬までに3,240人が参加しました。

キャンプ内給水所をまわり衛生状況をモニタリングする衛生普及員、IDP雇用 03Apr2014 UNhouse (pwj)
写真:キャンプ内給水所をまわり衛生状況をモニタリングする衛生普及員

活動の効果を調べるために、キャンプ内避難民の方々にアンケートを取りました。
4人の子どもを育てる女性からは「子どもが下痢になりキャンプ内のクリニックに連れて行った際、衛生普及員から、手が汚いまま食事をすると下痢の原因にもなり、小さい子どもは下痢でも死に至る可能性があると聞きました。それ以降は子ども達全員に、食事前とトイレの後は必ず石鹸と水で手洗いをさせるようになりました。」という回答が返ってきました。
キャンプ内での衛生促進活動が浸透している証拠です。
南スーダンの人々同士で衛生環境を改善できる、そんなお手伝いをPWJは今後も続けていきたいと思います。
報告:長村 裕(南スーダン事業担当)
※本支援は、ジャパン・プラットフォームからの助成や、皆さまからのご寄付により実施しています。

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