【南スーダン】2014年度の活動報告と今後の支援について
南スーダンで2013年12月に発生し2015年2月現在も同国北部で続く紛争の影響で、国内避難民150万人と近隣国に逃れた難民50万人が避難生活を続けています。
PWJの駐在員4名も国外退避を余儀なくされ、2014年度は隣国ケニアの事務所から遠隔で事業を行いました。
PWJは2006年以降、南スーダン東部のジョングレイ州で井戸掘削を中心とする水・衛生支援を実施してきましたが、2014年度はジョングレイ州都ボーと首都ジュバで、現地2団体と提携し、ごみ回収、清掃、トイレ・水浴び場・手洗い場の設置や補修、衛生普及活動などの緊急衛生支援を実施しました。
こうした支援により、対立するヌエル族とディンカ族双方を含む、ジュバにいる合計15,764人の国内避難民とボーの小学校4校の生徒・教員・周辺住民がより良い衛生環境で生活することができるようになりました。
2014年10月には、ジョングレイ州で発生した洪水に対応し、ボー郡とトゥイッチイースト郡に属するナイル川の中州6島に孤立していた857世帯5,142人に水・衛生キットをボートで配布しました。
この他、事業の実施を通して、キャンプにいる国内避難民の人々に雇用の機会を提供しています。
写真左:ボーの学校に建設したトイレと手洗い場
写真右:配布した浄水タブレットの使い方を洪水被災者に教える
さらに、国境を越えてケニアに避難した南スーダン難民にも支援の手を差し伸べられるよう、2014年10月末にケニア西部にあるカクマ難民キャンプで支援事業立ち上げのためのニーズ調査を実施しました。
現地で活動するUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)や複数のNGOから聞き取りを行い、カクマキャンプでの難民支援の状況、特に到着したばかりの難民の置かれている状況を把握し、キャンプ内での支援活動の様子を視察しました。
南スーダンから新たに避難してきた難民の暮らす区画のみならず、1992年に設立されコンゴ・ソマリア・ブルンジなど複数国からの難民が共存している古いキャンプも見てまわりました。
カクマキャンプ周辺には、ケニアで最貧困と栄養失調に苦しむトゥルカナ族が暮らしています。
もともと水などの資源や公共施設・サービスが不足している地域に、人口の何倍もの難民が周辺国から急にやって来て、国連等から無料で衣食住・医療・教育サービスを受けているのに比べ、地元民の生活環境は過酷です。カクマキャンプでの支援事業を実施する際には、こうした周辺住民への支援も同時に行っていければと考えています。
写真左:ボーの学校で立ち上げた衛生クラブの生徒が衛生普及のための寸劇を行っている
写真右:PWJの事業は地域住民にも歓迎されている
2015年2月現在は、2014年度事業の締めくくりのため、PWJ日本人職員による現地視察や他団体職員による外部モニタリングの計画を進めつつ、3月に開始予定の次期事業の準備にかかっています。
同時に、ケニア国カクマ難民キャンプでの活動開始に向けて、現地で調整を進めています。
2015年1月からようやく日本のNGO関係者が短期出張でジュバに渡航できるようになったので、退避以降1年以上離れていた南スーダンを久ぶりに訪問して活動の成果を見られるのが楽しみです。
2014年度事業の成果と学びを自分たちの目で確認し、今後の事業に生かしていきますので、今後も皆様の変わらぬご支援をよろしくお願い致します。
報告:清水 貴子(南スーダン事業担当)
※この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成や、皆さまからのご寄付により実施しています。