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私たちの活動

【南スーダン】隣国ケニアから南スーダン事業を動かす

日本は残暑の頃でしょうか?ケニアの首都ナイロビは一年を通して気温が20度台と快適で、陽に当たらなければ汗ばむ事もありません。日本と季節が逆で、6月から7月にかけて朝晩が冷え込み、大袈裟な人はダウンコートを着ています。ほとんどの家にエアコンはなく、空調が必要なのは大きな商業施設だけのようです。暗黒大陸、未開といったアフリカのイメージを強くお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、ナイロビには緑多き住宅街、多様なレストラン、綺麗なショッピングモール、最新の3D映画を鑑賞できる映画館などもあります。
私は、南スーダン事業を担当していますが、現在は隣国ケニアのナイロビに駐在しています。その理由は、南スーダンでは未だに地方で内戦が続いており、治安が不安定だからです。戦禍に赴き被災者を救うのがNGO等の活動なのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、安全に事業を実施することも大切です。日本国政府も邦人の安全のために、南スーダンに限らず、国連やNGOの支援地であっても治安の悪い地域には邦人の渡航を厳しく制限しています。例えば、ケニア国内でも首都ナイロビのスラムや北東州にあるソマリア難民キャンプは立ち入り禁止です。南スーダンは一般市民の間でも武器が出回り、武装強盗が絶えません。街ではNGOの事務所や宿舎が、地方ではたくさんの牛を飼う放牧民のキャンプが、武装強盗の標的になっています。
このように日本のNGO職員が容易に現場に行けない地域が増えている昨今の世界の治安情勢から、支援現場に入れない場合の活動実施と事業管理のノウハウを蓄積する時が来ているのだとも思います。遠隔地から現地に何から何まで指示を出して事業を進めることは簡単ではありません。ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の場合、現地人スタッフの多くが2013年12月の戦闘時にばらばらになってしまい、反政府地域に逃げたスタッフ達とは一年半経つ現在も連絡が取れません。

南スーダン
事業地である南スーダンの首都ジュバとナイル川

PWJは地方にあった事務所を閉めた後、南スーダンでの事業を継続するために、日本人の入域が限定的に許可された首都ジュバにおいて、南スーダン人が運営する地元NGOとパートナーシップを組み、国内避難民キャンプでの衛生支援プログラムを開始しました。現地のNGOと協働することで、遠隔での事業運営を補完しあっています。パートナーシップ2年目である現在、活動地は避難民キャンプの中だけでなく近隣にも拡大し、キャンプ内活動で培ったノウハウを活かすべく、現地政府機関やコミュニティ、学校、教会を捲き込んだ活動を進めています。
協働開始時は20人規模だった地元NGOが、今では国内4州で200人以上のスタッフを抱え、国連機関や他国ドナーからも資金調達し、複数事業をまわせるまでに実力を付けたことについて、先日私たちの事業を視察された日本国大使も特に喜ばれていました。(大使の南スーダン通信はこちら:http://www.ss.emb-japan.go.jp/itpr_ja/tsushin_20150715.html

南スーダン

現在衛生教育を実施している地域で、昨年はコレラが流行しましたが、今年はまだ発生していません。家にトイレがない、石鹸がない、綺麗な水がないといった状況のコミュニティでも、自主的にトイレを作ろう、井戸水を使おう、家の周りを掃除しよう、とアクションを起こし始めた住民たちがいます。遠隔での事業運営は課題も多くありますが、地元の人々の自主性と意欲を原動力にし、これからも成果を出していきたいと思います。
報告:清水貴子(南スーダン事業担当)
※この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成や、皆さまのご寄付で実施しています。
 

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