避難民の帰還先で仮設住宅の建設を支援
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)はこのほど、内戦中に避難していた人びとの故郷への帰還と再定住を支援するため、スリランカ・トリンコマレ県のクッチャベリ郡で仮設住宅を建設するための資材配布を開始しました。スリランカでは民族紛争が20年以上続き、一部の人びとは住みなれた故郷を逃れて国内避難民となっていました。PWJは2009年10月から避難民キャンプで支援を行ってきましたが、キャンプが閉鎖され、帰還民が増加している状況に対応するため、帰還先での再定住支援に切り替えています。
仮設の家ができて喜ぶモハナーサスさん
キャンプから解放されて帰ってきた人びとを待ち受けていたのは、かつて住んでいた家の残骸と、ほとんどの帰還民は親戚などの元に身を寄せるしかないという現実でした。PWJが仮設住宅の支援に踏み切ったのは、支援に先立って調査をしたとき、「まずは家族で住める場所がほしい」という要望が最も高かったからです。
調査と並行して、国連や他NGO、政府機関との調整、規格に合った資材の見積もりと買い付けなどを行い、2009年12月末から各地で帰還した人たちを集めた説明会を開催しました。2010年1月に入ってからは支援を受ける家族と合意書を交わし、続いて資材を配布しました。
写真左:仮設住宅用資材の配布
写真右:木材を運ぶ女性
(C)PWJ/Yukari NISHINO
配布した資材は、木材や屋根用トタン、床用のセメント・砂などで、数日間かけてすべての家に配り終わりました。その後、技師を招いてデモンストレーション(実演)を行い、対象の家族が参加して1軒の家を仕上げました。
デモンストレーションを実施
(C)PWJ/Yukari NISHINO
デモンストレーションの場所は、コミュニティの中から選ばれました。その家のヴィジャヤラーサさんは「夫を亡くしたので、家族は子どもと私だけになりました。一緒に帰ってきたほかの家族のみなさんが手伝ってくれたおかげで、住む場所ができました。本当にほっとしています」と話していました。
デモンストレーションの翌日、PWJのスタッフが作業の進み具合を確認するためまわってみると、ほとんどの家で建設が始まっていました。いかに皆さんが家族と一緒に住める場所を必要としていたか改めて実感する思いでした。
中には、資材配布からたった2日で、ほとんど仕上げてしまった人もいました。
写真左:建設中の風景
写真右:骨組みが完成
(C)PWJ/Yukari NISHINO
そんな1人、モハナーサスさんは「家ができてうれしい。ハッピーだ。9月に帰ってから4カ月近く親せきのところで厄介になっていたんだが、これでやっと家族で暮らせるよ。小さい男の子がふたりと、娘がひとりいるんだ。今日、床が仕上がるので、子どもたちが学校から帰ってきたら見せたいね。すぐにでも越してきたいよ」と話していました。
PWJは合計約250軒の仮設住宅支援を予定しており、情報収集を続けながら必要性の高い地域で支援をしていきたいと思います。