現場に入れなくても「心はいつも家族の一員」
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)がコーヒー生産者支援を続けているエルメラ県レテフォホ郡に、今年もコーヒー豆の収穫の時期が迫ってきました。2006年春に首都ディリで起きた騒乱から、ちょうど1年。痛手を乗り越えて活動してきた生産者組合「カフェ・タタマイラウ」のメンバーたちは、総会で新リーダーたちを選出し、騒乱の影響で現場に入れないスタッフからの「たとえ離れていても、みんな家族の一員」という手紙にあらためて心を一つにしました。
(C)PWJ/Hibiko SHIBATA
14万人もの国内避難民を生んだ騒乱では、PWJ現地スタッフの多くも家を焼かれ、避難生活を余儀なくされました。また、東西の地域対立を背景にした騒乱のため、東部出身のスタッフが西部のレテフォホに入れず、首都ディリから指示を出すなど不自由な活動を強いられています。現場では今も、西部出身スタッフだけで生産者をサポートしなくてはならない状況です。
一方、組合活動は「コーヒーの品質向上」から「組合の組織づくりと運営」へと重点を移しています。新しいリーダーを選出し、メンバーの結束を再確認するため、4月19日に初めての組合総会を開きました。公正な選挙の結果、12人の候補者から、代表、副代表、幹事、会計、そして会計補佐の5人が選ばれました。
総会では、決まったばかりの組合ロゴをあしらった青いTシャツのユニフォームがメンバーに配られました。会の冒頭、メンバーから絶大な信頼を得ている東部出身のPWJ現地スタッフ代表のメッセージが読み上げられました。「親愛なる組合家族の皆さんへ……。政治的なことなどに左右されず、協力して一生懸命おいしいコーヒーを作って、組合の発展と幸せな生活を目指しましょう。私は現場に入れず、皆さんと直接一緒に活動ができませんが、今もカフェ・タタマイラウという家族の一員です」。200人余りの出席者から大きな拍手が起こりました。
(C)PWJ/Hibiko SHIBATA
その後、5月3日と4日には組合代表らをディリに招き、東部出身のPWJ現地スタッフとともに今後の計画を話し合いました。騒乱後のさまざまな困難を克服し、1年ぶりに顔をそろえた面々は、深く温かい抱擁をし、改めてともに活動していくことへの士気を高めました。
今年の収穫作業は6月初旬にも始まる見込み。収穫から輸出まで半年ほどの長丁場となる一連の作業では、互いの信頼と結束が何よりの力になるはずです。