今年の輸出を終えて-総収穫量は39.1tになりました-
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)がコーヒー生産者支援を続ける東ティモールでは、今年のコーヒー豆の収穫が終了しました。11月4日には今年の豆を載せたコンテナが日本へ向け出発しています。
生豆の袋詰め作業
(C)Peace Winds Japan
今年は、収穫量の落ち込む「裏年」に加え、昨年の長雨がもたらした開花不良により、レテフォホ郡では収穫開始前から大幅な収量減が予想されており、最終的にはアラビカ種で昨年の91tから今年26.8tへ、3分の1以上の激減となりました。レテフォホの一部では昨年比で4分の1程度しか収穫できなかった集落もあり、レテフォホのコーヒー生産者にとっては厳しい年となりました。こうした生産者の収入激減を緩和できるよう、PWJはコーヒーの買取価格を例年より大幅に上げて対応してきました。
このように、PWJと生産者双方にとって厳しい状況の一年となりましたが、大きな「収穫」も3つありました。
一つ目は、不作や天候不良に左右されない農園作りと管理の重要性を、両者で再認識出来たことです。現在、PWJが今年6月にレテフォホで開始した実験圃場(以下、圃場。前回の記事を参照)が、生産者の関心を集めています。6月に圃場で剪定したコーヒーの木は、生産者たちの予想に反し、この数か月で大きく成長しました。
選定した木から生えた新しい芽
(C)Peace Winds Japan
「圃場の木は古くて、もう実はならない。剪定をやっても結果は一緒だと思っていたが、こんなに変わるとは思わなかった。私も自分の農園でやりたい。」という声が聞こえ始めています。そうした点で、今年の不作はPWJと生産者にとって大きな教訓となりました。
二つ目は、2010年からPWJが技術支援を開始したリキサ県リキサ郡で、生豆で12.3tのロブスタ種が収穫できたことです。今年は残念ながら アラビカ種は不作となり生産量は少なくなってしまいましたが、ロブスタ種の支援開始から2年で10tを超える収穫が得られたことは、来年への大きな自信となりました。引き続き技術支援を行い、さらなる収量増と高品質を維持していきたいと思います。
最後は、ディリの二次加工(脱穀)倉庫建設です。
コーヒーの生産地で加工されたパーチメント(黄色い硬いからが付いたコーヒー豆)は首都のディリの倉庫にて脱穀作業(硬いからを取り除く作業)が行われますが、従来、ディリの第二次加工施設はPWJだけでなく他の企業や団体も利用していたため、利用できる時間と場所に制約がありました。
しかし、 PWJ専用の作業倉庫を建設することで、豆の品質管理に重要な手選別(状態の悪い豆を、手選別ではじく作業。)を、より丁寧に実施できるように対応しました。9月に倉庫建設は完了し、今年のコーヒー豆は2度の手選別を実施することができました。 生産現場を改善し、より一層美味しいコーヒーを日本の皆様にお届けできれば何よりです。
新しく建設した作業棟
(C)Peace Winds Japan
新しい作業棟でのハンドピックの様子
(C)Peace Winds Japan
不作の中でもPWJに協力してくれた生産者、不作だからこそ来年に備えPWJがやらねばならない業務を全力で支えてくれたスタッフに、改めて深く感謝したいと思います。