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私たちの活動

大統領選挙とPWJの活動

東ティモール共和国の第3回大統領選挙を3月17日(土)に控え、選挙キャンペーン最終日の3月14日には、最大野党フレテリン(Fretilin)の選挙演説が ディリ市内で行われ、興奮した人々でごった返していました。
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(3月14日、タシトルにて。フレテリン選挙演説。)

17日の投票時間は早朝7時から午後3時までで、有権者は17歳以上の東ティモール人、約63万人です。投票のため、PWJ 東ティモール 事務所のスタッフ2名も、投票日前の週の後半にはアタウロ島、オイクシへそれぞれ帰省します。
今般の大統領選挙は当初14名の候補者によって争われる予定でした。しかし女性候補者1名(Angela Freitas氏)が出馬の前提条件とされる支持者3,000名を確保することができず、また、もう1名の候補者であるFrancisco Savier do Amaral氏は3月6日の午前に逝去したため、最終的な候補者は12名となりました。
なおFrancisco氏は、1974年フレテリンの創設者兼初代議長であり、1975年インドネシアの本土侵略開始前にポルトガルからの東ティモール共和国の独立を宣言し、初代大統領となった人物です。その後、フレテリンの前身であるティ モール社会民主協会(ASDT)の名をそのまま残し、新党としてASDTを再結成された有力者でもありました。
さて、こうした紆余曲折を経て、現在12名が立候補する大統領選の投票が週末に迫っていますが、その12名の立候補者とは一体誰か。選挙情勢はどのように見られているのか。
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(3月14日タシトルにて。フレテリンその2。)
まずは、立候補者を紹介します。
1.Jose.Ramos Horta(ジョゼ・ラモス・ホルタ)・・現職大統領。2012年1月末に大統領選立候補表明。(無所属)
2.Taur Matan Ruak(タウル・マタン・ルアク)・・独立前はFalintil(民族解放軍)副司令官。昨年の九月まで国防軍司令官、大統領選出馬のため辞職。(無所属)
3.Francisco Guterres Lu olo(フランシスコ・グテレス・ル・オロ)・・フレテリン(Frente Revolucionaria Do Timor-Leste Indepenente)党首。(フレテリン)
4.Fernando Lasama de Araujo(フェルナンド・ラサマ・デ・アラウジョ)・・連立与党のひとつである民主党の党首、国会議長。(民主党)
5.Manuel Tilman(マニュエル・ティルマン)・・野党コタの党首。(Kota党)
6.Rogerio Tiago de Fatima Lobato(ロジェリオ・ティアゴ・デ・ファティマ・ロバト)・・フレテリン政権時の内務大臣。(無所属)
7.Maria Seo Lopes da Silva(マリア・セウ・ロペス・ダ・シルバ)(無所属)
8.Angelita Maria Francisca Pires(アンジェリタ・マリア・フランシスカ・ピレス)(無所属)
9.Francisco Gomes(フランシスコ・ゴメス)・・2011年結成の新党PLPA(Partido Liberta Povo Ai-leba)=アイレバ人民解放党の党首。
10.Jose Luis Guterres(ジョセ・ルイス・グテレス)・・現連立政権下の副首相。FRETILIN MUDANSA党の党首。
11.Abilio da Conceicao Abarantes de Araujo (アビリオ・ダ・コンセイサオ・アバランテス・デ・アラウジョ)・・インドネシア占領時代のフレテリン海外代表部リーダー。(Partido Nasional Trabalista党)
12.Lucas da Costa(ルーカス・ダ・コスタ)・・民主党国会議員。学者。ディリ大学、平和大学創設に関わる。(民主党)
この12名によるレースの中で有力視されているのが、1.~4.までの立候補者です。この4名の中から大統領が選ばれることは間違いない と言われていますが、いずれか一人が過半数以上を得票する見込みは低く、決選投票になるのは必至との意見が大勢を占めています。
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(3月14日タシトルにて。フレテリンその3。)
こうした政治動向から翻ってPWJ東ティモール事業を振り返ってみますと、PWJが緊急からコミュニティ開発へと支援の方向性をシフトした2003年以降も、実に政治不安の中でのオペレーションの舵取りを迫られたということがわかります。2002年に念願の独立を遂げた東ティモールですが、独立以降も政治的混乱は続き、 1999年より同国を支援するPWJも、 様々な困難に直面してきました。
2006年には当時の駐在スタッフが国外退避する事態となり、2008年の大統領襲撃事件が発生した際には 非常事態宣言が出され、コーヒーの収穫地であるレテフォホに移動できない、という事態にも見舞われました。そうした厳しい局面においても、PWJは決して事業を止めることなく、現在まで継続してきました。そうして積み重ねた活動の成果は、実績として如実に数値に反映されています。10名の生産者から始まったレテフォホでのPWJによるコーヒー生産者支援も、 2012年現在は500名を 超えるまでに発展しています。
PWJが安定的に活動できることと、東ティモールの政治面での平和は当然、相関関係にあります。 政治的に安定してきた現在の東ティモールでの活動は、外出禁止令などの物理的制約の緩和や、通信事情・インフラの改善により、混乱の時代と比べて格段に容易になりました。
他方で治安が改善し、ティモールの支援ニーズが緊急支援から長期的な発展を見据えた開発へと移行する今、より質を重視した援助が求められています。人材育成や第一次産業の発展は、当国に とってとりわけ重要な課題とみなされており、これらの課題解決を支援する援助機関は、様々な経済的・社会的要因を加味・検証し、精緻な計画をもって支援活動に臨むことが求められています。
PWJの支援は、まだまだ多くの課題、改善点を抱えるものの、東ティモール国家の開発優先課題に直結したその活動に、スタッフ一同使命感を持って日々業務に取り組んでおります。小さなオフィスで小さなコーヒー豆たちと向き合いながら。
長くなりましたが、こうして、独立から現在に至るまでの東ティモールの変遷、それに伴うPWJ活動を振り返る中で、現在の平和こそ、過去の混乱に疲弊した市民、為政者、そして国際社会の切望するものであると改めて実感します。
今年で独立10周年を迎える東ティモー ルで行われる3月の大統領選挙と6月予定の国会議員選挙。
5月20日のLoron Independencia:独立記念日を挟んで行われる、この2つの選挙が平和理に実施されることを、東ティモールに縁あって滞在する一NGO職員、一日本人として願わずにはいられません。

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