【ウクライナ】ウクライナ国内で避難生活をする人々に物心両面での支援を続けています
ロシアがウクライナに侵攻して20ヶ月を過ぎましたが、11月25日には首都キーウに大規模なドローンによる攻撃があるなど、戦闘は継続しています。戦争が長引くなか、ピースウィンズはウクライナのNGO「Right to Protection (R2P=保護の権利)」とともに、国内避難民が多い西部・中部のリヴィウ、ヴィニッツァ、チェルノフツィの3つの州で、食料や衛生用品を提供し、心のケアや法律・福祉相談を続けています。心のケアは避難民を受け入れているホスト地域のみなさんにも提供しています。
ウクライナで長年保護活動を続けてきたNGOであるR2Pの特徴は、心理学の専門家と法律家、ソーシャルワーカーらで構成され、機動的に動くモバイルチームを持っていることです。彼らは、避難所や知人宅に身を寄せる国内避難民を訪問して、必要な支援を提供します。
●折り紙教室の先生を夢見る少女クリスティナ
ヴィニッツァでモバイルチームが出会った1人が10歳の少女クリスティナさんです。激しい戦闘が起きた南部マリウポリに暮らしていた彼女は、爆発が起きるたびに地下室で怯える恐ろしい経験を経て、2023年3月、家族と一緒にヴィニッツァに逃れてきました。見知らぬ土地での生活に戸惑いましたが、R2Pのモバイルチームが行う活動に参加して、模型を作ったり、絵を描いたりするうちに、創作の楽しさを覚え、明るさを取り戻していきました。
クリスティナさん(左)と心理療法士のオレナさん
とりわけクリスティナさんの心を強くとらえたのが折り紙でした。R2Pの心理療法士オレナ・カミンスカさんと話した彼女は将来の夢をこう語ったそうです。「子どもたちに折り紙を教える教室を開きたいです」。
活動中の子どもたち
●年金証書の再発行も
モバイルチームには法律の専門家もいるため、法的手続きも支援できます。たとえば、マリウポリからヴィニッツァに逃れてきたミコライさんは、暮らしていた共同住宅が砲撃で壊され、瓦礫の下で3日間身動きができませんでした。誰がどのように助け出してくれたのか、全く記憶がありません。その後、ロシア占領地区に連行され、占領軍から暴行を受けるなどしたこともあり、脳卒中を起こし身体に障碍が残りました。また、年金証書を失い、生活していくことも、治療を受けることも難しくなりました。モバイルチームはまず年金証書の再発行手続きをし、次に医療機関や地元NGOと連携して、歩くのが難しい彼が歩行器を得られるよう手助けしました。
ウクライナの人々が置かれた厳しい状況は今も続いています。引き続き、ご支援をどうぞよろしくお願いします。
*この事業は、みなさまからのご寄付やジャパンプラットフォームからの助成金により実施しています。