【ウクライナ】女性の精神的回復力を高めるためのクラブを開催しています
戦争が長引くなか、前線の夫や息子を心配してストレスを抱え込んだり、戦死した家族を悼んで心に傷を負ったりする女性が数多くいます。こうした人々を心身両面から支えるため、ピースウィンズはウクライナ北部のチェルニヒウ州で、ニジィン産婦人科病院、および地元NGOであるアンドリーウ・ファミリー基金(AFF)と協力して、産婦人科医、看護師、検査技師、臨床心理士、ソーシャルワーカーなどから成るモバイル・クリニックを構成。村々を巡回して健康診断を行いつつ、心のケアが必要な人を適切な対応に繋げる活動を行っています。
この活動の一環として、女性の心の安定のための集会「女性レジリエンス(精神的回復力)クラブ」も開催しています。リラックスした環境で気軽に集い、社会的なつながりをもちながら、思いや感情を安心して表現できる場を用意することでストレス解消や心のケアができるようにしました。3月末までに11のグループ・セッションが開かれ、合わせて176人の女性が参加しました。
この活動を通して、ウクライナ女性が抱える深い苦しみが浮かび上がってきました。
ある34歳の女性は夫が兵士として前線にいるため、2人の子をひとりで育てなければなりません。夫の身を案じるあまり不眠症に苦しみ、何をするにも気力がわかず、気分の浮き沈みにも悩んでいました。74歳の女性はひとり息子を戦争で失い、生き甲斐を見いだせなくなって落ち込んでいました。41歳の女性は戦争で夫を失って半年を経ても遺体が戻ってくることはなく、息子と病気の母親の面倒をみるなか、義父母から財産分与を求められるなど精神的苦痛を味わっています。17歳の少女は父親がロシア軍の捕虜となり、そのために母が心を病んでしまったストレスから、自分自身が高血圧症になってしまいました。夫が徴兵される可能性に怯え、前線に近い町で暮らす娘のことを心配して心が苦しいと訴える43歳の女性もいました。
女性レジリエンスクラブでは、こうした女性たちがワンセット5回のセッションを受けることで、悲しみや苦しみに向き合って、再起する力をつけられるよう支援していきます。専門機関での診療を必要とする場合は、必要な紹介や情報提供、さらに自力での移動が困難な場合は送迎の支援も行っています。
このプロジェクトはみなさまからのご支援とジャパンプラットフォームの助成を受けて実施しています。戦争の長期化によって、心と体に負担を覚える女性は増えています。私たちはこれからも彼女たちの苦しみが少しでも軽減するよう、できるだけの支援を行っていきます。引き続き、みなさまからのご支援をよろしくお願いします。