【ベトナム】「今年のお米はもう絶望的…」バイズオン村とチックディン村で物資支援
ピースウィンズの緊急支援チームは、9月14日、台風11号の被害を受けた被災地で物資支援を開始しました。
車から降りると、ぐちゃっと言って足がくるぶし近くまで泥水に埋まりました。
ベトナム・ハノイから車でおよそ3時間。やってきたのは甚大な水害被害が出ているイェンバイ省です。ハノイでは台風の強風による被害が目立ちましたが、この町では少し様相は異なり、一帯は泥水で溢れています。
台風と時期を同じくして降った大雨は、イェンバイ省のおよそ半分の土地で浸水被害をもたらしたとされ、市内では台風上陸から1週間経ったこの日でも未だ引かず、泥水となって低地を覆っていました。
道路脇には泥まみれの家財道具が散乱し、被災者は家の中から泥を掻き出す果てしない作業を黙々と続けています。
ピースウィンズの緊急支援チームは、バイズオン村とチックディン村の合計328世帯を対象に、毛布や蚊帳を支援しました。大洪水で家も家財道具も農地も全てを失った家庭にとってまずは安心して快適に夜休める毛布や、デング熱などの感染症から身を守るための蚊帳は不可欠です。
お話を伺った地元の30代男性は「元々雨の多い地域だけど、それでもこんな大雨は人生で経験したことがなかった。人の身長よりも水位が上がって、僕たちは屋根で丸一日避難していたんです。怖かった。今は家の物もバイクも使えなくなって、農地の仕事も当分できない… どうしたら良いか…」と肩を落としました。
チックディン村では、大きな被災の跡は見えましたが、村人たちは落ち着いており物資配布も村長主導で混乱なく進みました。
しかし、お話を伺うとせきを切ったように、被災当初のことを話される方が多くいます。
村人のほとんどが農家のチックディン村で、このレベルの水害は致命的です。田んぼでは収穫を待ち侘びていたお米の実った一面の稲穂が無惨になぎ倒され泥を被っていました。
農家の方は「今年のお米はもう絶望的。1年後までは備蓄などでなんとか食い繋ぐ方法を考えます。野菜畑はこの先2年は収穫できないかもしれないですね」とつらそうにお話しされていました。そんなお話をする時も、ふと上を見上げれば身長を遥かに凌ぐ高さの電線に、洪水時に流されたと思われる稲草が絡まっていました。
緊急支援チームは、引き続き現地で活動を続けます。ぜひ日本から被災したベトナムの方々をご支援ください。