【ケニア】新型コロナウイルス感染症:子どもたちに伝えたいことをコミックの形で
ピースウィンズ・ジャパン(以下PWJ)は、今年3月よりケニア北西部のカロベエイ難民居住地区と周辺地域で新型コロナウイルス感染拡大予防活動を、地域のファシリテーターや他団体と一緒に行っています。 6月からは、予防啓発のための新たな取り組みとして、子どもたち向けに新型コロナウイルス感染症について説明したコミックを作成し、配布しています。
3月の活動開始当初、スタッフが難民居住地に出向いた際に、私たちの団体の車を見た途端、それまで広場でサッカーをしていた子どもたちが逃げて行ってしまうということが何度かありました。なぜ逃げるのか、スタッフが子どもたちに聞いてみると、「広場で遊んでいるのが警察や支援団体等に見つかると補導されてしまうから」という答えが返ってきました。このことは、新型コロナウイルスに関して、私たちが伝えなければいけないメッセージがきちんと子どもたちに伝わっていないことを表していました。
感染に伴う死や社会的制裁についての人々の恐怖心を煽ることが、感染予防の逆効果になり、さらには感染した人やケアにあたる人に対するスティグマ(差別や偏見)を助長してしまうことは、HIV/エイズやエボラ出血熱といった過去の事例から学んだことでした。大事なのは事実やリスクをしっかり伝えつつ、感染しないために自分たちに出来ることを、それぞれ異なるグループの人々にわかりやすいように、予防行動につながりやすいよう配慮して伝えていくことです。現場で予防啓発活動にあたるスタッフたちと行動変容についての勉強会を行って理解を深めながら、すでに恐怖心を抱いてしまっている子どもたちに対して何が出来るのか考えた結果、子ども向けのコミックを作って配布しようというアイデアが生まれました。
そこで、すでに世界中の子どもたちに親しまれていたアメリカNational Public Radio のMalaka Gharib氏のコミックを原案にし、ケニア人漫画家のBilly Mugambi氏にケニア人や難民の子どもたちにもより馴染みやすいようにイラストやメッセージを変更してもらい、コミックを作成しました。感染経路と予防行動(手洗い、顔を触らない、咳エチケット、ソーシャルディスタンシング)だけでなく、新型コロナウイルスの特徴、症状や感染した場合の程度の違いも紹介しています。また、専門家からコミュニティのボランティアに至る、様々な人々が対策にあたっており、子どもたちは心配する必要がない点や、距離をとって遊ぶ方法を考えたりすることで、予防しながら楽しむこともできるという点も強調しました。
英語、スワヒリ語で作成されたコミックを配布すると、子どもたちは「コロナのコミックだ!」と大喜びしてすぐに読み始めました。読み終わる頃には、「2メートル!」と言いながらお互いに距離を取ろうとする姿も。配布から数日が経っても、大事そうにコミックを持って読んでいる子どもの姿もありました。
南スーダン難民の14歳の女の子は、「「コロナ」については毎日自分の周りの子どもも大人も話しているけれど、それが何なのかは理解していなかったし真面目に考えていなかったので、このコミックでちゃんと知ることが出来てよかった。これからは手洗いや咳エチケットなどきちんと実行して、周りの人にも大切さを伝えたい」と言っていました。現在、文字の読めない子どもたちにもメッセージを伝えられるよう、このコミックを元にした紙芝居を作成中です。
子どもたちが自分の健康を守るために正しい情報を伝え、支援していくことは大人の責任でもありますが、このコミックを介して新型コロナウイルスに関する家庭での対話が生まれることも期待されています。
PWJは今後も、子どもを含む様々な人に配慮しながら、新型コロナウイルス等感染拡大を予防するための活動を続けてまいります。引き続き応援をどうぞよろしくお願いいたします。
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