【イラク】職業訓練コース受講者の声(2)
「大人になったら仕事をして家計を助けたいと子どもの頃から考えていました。」
こう話してくれたのは、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)がイラク北部で実施する職業訓練コースの受講者Sh.R.Iさんです。PWJは2020年9月よりイラク北部ドホーク州シャリヤ地区のシャリヤ国内避難民キャンプ内外の国内避難民とホストコミュニティの女性および若者を対象に、生計能力の向上やコミュニティ連携に貢献し得る人材育成のため、住居修繕技術(電気・配管)、美容・整髪技術、リーダーシップの職業訓練コースを実施しています。
4回に分けてお届けする職業訓練コースの受講者の声。第2弾となる今回は、美容・整髪技術の職業訓練コースに参加したSh.R.Iさんの声です。
美容技術(メイク)の実技練習をするSh.R.I.さん
第1弾の記事はこちらから:https://global.peace-winds.org/activity/iraq/20083
ニネワ州シンジャール出身のSh.R.Iさん(20歳)は、子どもの頃、父親が交通事故で亡くなり、残された家族は障害のある母、姉とSh.R.Iさん、弟2人でした。「大人になったら仕事をして家計を助けたいと子どもの頃から考えていました。」と話すSh.R.Iさん。2014年に武力攻撃を受け、故郷から避難し、シャリヤ国内避難民キャンプで家族と暮らしています。そして、Sh.R.Iさんは家族を支えるために、キャンプ内で活動するNGOでパートタイムの仕事を始めました。
姉が結婚を機に家を出たことでSh.R.I.さんが家族の責任者となりました。家族を養わなければならないという責任感がより一層強まりました。そんな中、若者の人材育成と就業機会の向上を目的としたPWJの職業訓練コースのことを知り、真っ先に美容・整髪技術の職業訓練コースに応募しました。
講師である地元の美容師から学ぶ受講者
様々な整髪技術の実技練習をするSh.R.I.さん
若い女性のために特別にデザインしたこの美容・整髪技術の職業訓練コースで、Sh.R.I.さんは雇用され得る美容・整髪技術のレベルに到達すべく一懸命努力しました。15日間の集中的な理論・実技訓練の後、Sh.R.I.さんは基礎技能テストに合格し、地元の美容サロンでインターンとして受け入れられました。インターンシップ期間中も、Sh.R.I.さんは努力を続け、サロンのオーナーからSh.R.I.さんのモチベーションの高さと仕事のスキルについて評価を受けました。新たに習得した美容・整髪技術でSh.R.I.さんはこれまで以上に雇用機会を得るチャンスが高くなりました。
受講者が自信を持ち、自らの努力で雇用機会を広げていく姿を目の当たりにし、本事業を実施した意義を感じています。PWJでは、美容・整髪技術の職業訓練コースと同様、プロジェクトの効果を確実にするために、対象地域の文化的、社会的、そして労働市場の特性を考慮しながら、生計能力向上のための職業訓練コースを継続して実施していきます。
※本事業は、外務省の日本NGO連携無償資金協力からの助成金やみなさまのご寄付により実施しています。
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