帰還した村で再出発するための仮設住宅とトイレが完成
20年以上におよぶ内戦によって避難生活を余儀なくされたスリランカ北部の人々が、内戦終結後に故郷に戻っています。ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、より快適な住まいを提供することで、人びとのふるさとでの再出発を支援しています。
PWJの提供する仮設住宅
(C)PWJ
長年の避難生活から解放され、久々に故郷に戻った人びとが目にしたのは、倒壊した家や荒廃した田畑でした。故郷に戻ってから1年以上が経過した今でも、避難民キャンプから持ってきたビニールシートを材料にした粗末な家で暮らしたり、安定した収入が得られず満足な家を建てられない状況におかれた人びとが多くいます。
帰還した後のテント生活
(C)PWJ
スリランカ北部では、毎年10月から1月の雨季に激しい降雨が続きます。写真(上)のようなテントでは、雨が容赦なく降り込み床はぬかるんで、屋内にいる快適さはありません。また、トイレがないため外で用を足すのですが、特に子どもや女性が夜に出歩くことに危険が伴います。何より衛生上に問題があり、病気の蔓延が懸念されます。
そこでPWJは、人びとが安心して快適に暮らせるように仮設住宅の資材を提供し、トイレの建設事業を実施しました。大工や石工にしかできない建設作業もありますが、ペンキ塗りやトイレの穴掘りなどは、村の人びとの役割です。子どもや女性たちも資材運びを手伝うなど、村の人びとが積極的に参加する姿勢に、家ができる喜びはもちろん、村人の前向きな気持ちを強く感じました。
(左)仮設住宅の資材を配布
(右)子どもたちは喜んでお手伝い (C)PWJ
(左)仮設住宅の骨組みを作る
(右)女性たちも力仕事に参加 (C)PWJ
(左)屋根と骨格が完成
(右)床はセメントのため衛生が保てる (C)PWJ
住民の声:
Sumuduさん(2歳女児と7歳男児の母。夫を含め4人家族)。
「内戦中は夫の母親のところに身を寄せていました。その時は狭い家でしたが、今は家族4人だけで快適な家に住めるのが嬉しいです。雨漏りもせず、夏も通気性がよく、床がセメントなのがいい。」
彼女はようやく戻ってきた故郷の家の前で畑を始めていました。新しい生活のスタートです。
Vijayakoonさん(13歳女児と14歳女児の父。妻を含め4人家族)。
「私の職業は石工です。今回の仮設住宅とトイレ建設事業では、村の人達の住宅づくりで忙しく働きました。皆の役に立ててうれしかったです。何よりも家族4人で住める環境が整ったことがうれしいです。これまでの避難生活では、両親の家に住んでいたために肩身の狭い思いをしていたのです。」
帰還した人びとが、復興に向けて再スタートする第一歩を踏み出しています。仮設住宅の完成という小さな一歩ですが、そこには笑顔があって、希望があり、家族がいます。PWJは、このよう支援に向けて取り組んでいます。
この度、本事業が「地球VOCE」で取り上げられることになりました。女優の藤原紀香さんも支援現場にいらしてくださいました。下記にて地球VOCE放映分をご覧いただけます。
テレビ東京『地球VOCE』人間らしい暮らしが出来る家を・・・(2012.3.2OA)
(左)ココナツの葉を編む説明を受ける藤原紀香さん
(右)仮設住宅の前で (C)PWJ
*本事業は、Japan Platformによる資金や寄付金などにより実施しています。