新たに貯水池修復と酪農家支援を開始(その1)
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、スリランカ東部のトリンコマレ県において、帰還民(※)の再定住を支援しています。2011年3月に開始したコミュニティ生計支援事業の第1期が無事終了し、2012年3月より同事業の第2期を実施しています。
※内戦中に故郷から避難しており、2009年の内戦終結後、故郷に戻った人びとを指す。
1年目には、6つの農業用貯水池および用水路側道を修復し、公営のミルク工場の運営に必要な機材を提供しました(下記の本事業関連ルポ参照)。その成果を踏まえ、2年目の本事業では、新たに8つの農業用貯水池を修復し、さらにコミュニティレベルでの酪農家の生計向上も支援します。
現地の英字新聞「Daily News」に本事業開始の記事が掲載
在スリランカ日本国大使館のホームページに本事業の記事が掲載
30年前には機能していた修復予定の貯水池は、内戦の間、放置され、今では草木が鬱蒼と茂っています。本来は、下の写真の右側の部分に水が溜まる構造でしたが、堤防が壊れ、水が溜まらない状態が続き、林のようになってしまっています。
放置された溜池の一つ(C)PWJ
昨年に続き、今年もこうした貯水池を修復し、帰還民の稲作と畑作に大いに活かしてもらい、生活の向上を目指します。
本事業は、長期にわたって帰還民の生計向上に大きく貢献することが期待されており、トリンコマレ県の行政長官からもPWJの活動に対して高い評価をいただいています。
一方、ミルク工場については、昨年8月にミルク回収車と冷蔵車を供与した結果、ミルクの回収量は以前の5倍以上に増加しました。その後供与した「ホモジェナイザー(より多種の乳製品加工を可能にする均質機)」により、製品(牛乳、ヨーグルト)の質が大きく向上しました。
さらに、提供した冷蔵車により、約30km離れたトリンコマレ市内にまで製品を配達することが可能になり、マーケットがぐっと広がりました。トリンコマレ市内で2012年2月から開始したヨーグルト販売は、当初は一日170個でしたが、2月末には一日700個が売れるほどの人気商品となりました。工場近くには新たなショップもオープンし、供与された機材はすべて有効に使われています。
PWJ支援の冷蔵車で運ばれる乳製品を販売するショップ(C)PWJ
本事業では、このミルク工場周辺の小規模酪農家の支援も行う予定です。詳細については、次回のルポでお知らせします。
本事業関連ルポ
スリランカ東部で農業用のため池を修復
公営ミルク工場にミルク回収車と冷凍車を提供