人びとが井戸を使い続けられるように
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は昨年に引き続きスーダン南部のジョングレイ州で井戸建設事業を進めています。コミュニティの人びとが、完成した井戸から長期間にわたって生活に必要な水を確保できるようにするためには、井戸施設をコミュニティに引き渡す前にワークショップを開催し、井戸の維持管理をコミュニティの人たちが自ら適切に行えるよう必要な技術を習得することがとても重要です。
PWJ水エンジニアの説明を助手が現地語に訳す
(C)PWJ/Hiroko TAKAHASHI
今回は2つのコミュニティ合同でワークショップを開催しました。いつもコミュニティの人たちが集う大きな木の下で「青空教室」を行いました。参加者は、井戸堀削前に各コミュニティで結成した水管理委員会(Water Committee)のメンバーです。PWJではこのメンバーに必ず女性を入れるよう、コミュニティに求めています。この辺りの地域では、水くみは主に女性、子どもの仕事とされているため、彼女たちの理解と参加なしでは今後の適切な井戸の管理は難しくなるからです。当日は2つのコミュニティの委員会メンバー各5人に加え、会場近辺の住人など20人以上の参加者が集まりました。子どもを連れて参加する女性の姿も見られました。
写真左:子どもを連れて女性たちも参加
写真右:熱心に話を聞く参加者たち
(C)PWJ/Hiroko TAKAHASHI
まず午前の部では、PWJの水エンジニアが、イラストや図、写真を使って、井戸の適切な管理方法を説明します。
「井戸を清潔に保つためにはどうしたらいいでしょうか?」
エンジニアは、質問を交えながら、参加者自身に方法を考えさせます。こうした場面では、ともするとリーダー的な存在の男性が次々と正解をいってしまいかねないのですが、PWJスタッフが遠慮しがちな女性たちにも発言を促します。すると、今まで黙っていた女性たちも積極的に発言し始めます。やはり普段自分たちで使うものだからでしょうか。ぐずる子どもをあやしつつ、スタッフにいろんな意見を挙げ、質問を投げかけてきます。
昼休みをはさんで、午後の部ではコミュニティ内に完成した井戸のところに参加者が移動し、井戸の管理について実技指導を行います。まずエンジニアが見本を見せてから、男女1人ずつのメンバーが代表としてハンドポンプのトップ・カバーを開けて、ポンプ内部のメンテナンスの方法を学びます。最後にポンプを元通りにし、レバーを押して、ちゃんと水が出るのをみんなで確認します。
写真左:女性も実技に参加
写真右:ワークショップ後に水くみに集まった人びと
(C)PWJ/Hiroko TAKAHASHI
ワークショップが終了するやいなや、近くの住人たちが次々に水をくみに集まってきました。そのかたわらでは、ワークショップの参加者が10人程残って、配布されたイラストなどを見合わせながら復習をしている姿が目を引きました。このコミュニティなら、今後もしっかり井戸を管理してくれるだろう、とホッと胸をなでおろしつつ帰路につきました。