お待たせしました! 待望のワングレイ小学校が完成
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)のフィールドオフィスのあるBorより、約150km離れたトゥイッチイースト郡のワングレイ。PWJが建設中であったワングレイ小学校が完成しました。
このプロジェクトは、ちょっと変わっていました。ワングレイ小学校は、約6年前にC&D(Church & Development )というNGOにより、写真のように、屋根のみ完成されました。
C&Dが作った屋根のみの校舎
C)PWJ/Futoshi HATANAKA
そして当初の計画では、床、壁や窓などの工事は、地域住民の資金により行う予定でした。しかし、地域の予算は限られており、なかなか建設に取りかかれず6年が過ぎてしまいました。このままでは、せっかく作った立派な屋根が十分に機能されず、どうにかして校舎を完成させたいとの願いが、学校はもちろんのこと、住民、教育省などからありました。そのため、スーダンで井戸事業をメインとしていたPWJが、この校舎の継続建設に着手することになりました。
しかし、今年は雨期のはじまりが早かったこと、建設業者とのいろいろなトラブル、材料の輸送などで、順調とはいえない建設工事になりました。校舎建設中は、写真のように、木の下での授業となり、先生、子どもたちともに一日も早い校舎の完成を期待していたので、工事を担当するエンジニアとして申し訳ないと思う日々でした。
校舎ができるまでの屋外での授業風景
(C)PWJ/Futoshi HATANAKA
しかし、どうにか7月8日に工事が完了して、引渡しのためのワークショップ(研修会)を行うことができました。校舎の脇にトイレや井戸も建設したため、「毎日の生活での衛生面で気をつけること」などを紹介しました。最後に、教室の扉の鍵を学校の責任者に渡して、完成した校舎を無事に引き渡すことができました。
完成した学校
(C)PWJ/Futoshi HATANAKA
この校舎の完成で、今後は、雨の日にも授業ができ、授業に集中しやすい環境が整いました。子どもたちの教育に良い影響がきっとあると思っています。
ただ気がかりな点は残っています。まだ、南スーダンでは、机・椅子を完備した小学校は少なく、子どもたちは自宅から、椅子を持って学校へ行くのが普通です。このワングレイ小学校にある机・椅子は、全部合わせて10セット程度しかなく、1教室もカバーできない状態です。黒板を見るため、自分の椅子を持っていない子どもは、前方のコンクリートの床の上に直接座り、自分の椅子を持って来ている子どもは後ろの方に座り、ひな壇状態で授業を受けています。もちろん机はありません。
このような状態で授業を毎日受けている姿を見ると、「なんとかならないのか…」と感じてしまいます。また、日本で育った私たちは非常に恵まれているとも感じます。ほとんどの学校がきちんとした校舎がないため、机・椅子より校舎を多くつくるのが優先するという考えは正しいかもしれません。しかし、これが現状であり、改めてまだまだやらなくてはいけないことはたくさんある、と考えさせられました。
説明する畠中フィールドエンジニア
(C)Peace Winds Japan