クリスマスのプレゼントは井戸!
ようやく、という言葉をこれほど実感を込めて使う日が来るとは思いませんでしたが、本当にようやく、道路を通行することができるようになってきました。スーダン南部のピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が活動する地域では、今年は洪水と道路陥没に悩まされました。11月から井戸掘削地を決めるための調査(アセスメント)を試みていたのですが、何度も何度も、途中の泥道と水たまりにはまって立ち往生となり、目指す村までたどりつけない日々が続いていたのです。道路復旧でいよいよ井戸掘削に着手できる見通しが立ったことで、いくかの村には、クリスマスに井戸をプレゼントできるかもしれません。
水に覆われた道路(左)と村の様子
(C)Peace Winds Japan
PWJが南スーダンで事業を開始して3度目の乾期を迎える今期は、これまでの経験を生かし、今まで支援が十分に届いていなかったジョングレイ州北部の郡まで事業を拡大する計画を立てました。しかし、例年であれば11月前半で終わる雨期が長引き、行く手を阻まれてきました。写真のように、道路一面に広がる水、冠水する村…。この状況は、州北部へのほんの入り口地点に過ぎません。
長期化する雨期の間、社会基盤(インフラ)の大切さを思い知らされました。日本政府がWFP(国連世界食糧計画)を通して道路修復事業の支援をしていますが、確かに道路は地域が発展するために最も必要なものの一つでしょう。道路があれば、NGOなどの支援団体も薬を配ったり学校を建てたりする事業ができます。さらに重要なのは、現地政府の職員の目が届くということではないでしょうか。
雨期の間、何度も開かれた現地政府とNGOの調整会議では、政府側から毎回、「道路がぬかるんで通れなくなると、州内のほとんどの場所には行くことができなくなる。もともと政府には車が少ないこともあり、水や医療、教育など住民の生活実態を調査しようにも、州内の11の郡の内、行くことができるのは3郡程度だ」という声が出されていました。
調査のため村に入るPWJスタッフ
(C)Peace Winds Japan
PWJが井戸掘削地を決める際には、独自調査に加えて、現地政府の把握している住民の必要度を元にした調査を行って、より必要度の高い地域に井戸を造っていこうとしています。やっと今、乾期前半の目標数28本の内、5本分の調査と地元との協議が終わりつつあり、クリスマスには井戸掘削が開始できそうな状況です。
願わくは、日々の水くみで苦労している子どもや女性のために、「クリスマスプレゼントは井戸!」ということにしたいところです。トナカイの代わりにサバンナからガゼルが来てくれる…かもしれません。(写真は子ヤギですが…)
水くみをしている子どもたち。彼らのためにも。(右はヤギ)
(C)Peace Winds Japan