スーダン南部水事業、100本目の井戸が完成!
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)がスーダン南部で緊急支援を開始して、もうすぐ3年になります。この間にPWJが完成させた井戸の数が、5月4日、ついに100本に達しました。乾期終了まで井戸建設は継続中で、そのすべてが完了すれば、PWJがつくった井戸は合計で105本にもなります。
(C)Peace Winds Japan
完成させた100の井戸はジョングレイ州の4郡に広く分散しているため、一番離れている井戸同士の距離は200km以上にもなります。小学校の井戸、辺境の村の井戸、人びとでひしめく町の中の井戸、難民の帰還先の村の井戸……、設置に至った経緯や設置を決めた理由はさまざまですが、何度も何度も足を運んで作った井戸ですので、それぞれに印象深いものがあります。100匹のヒツジを飼っているような気持ちに近いかもしれません。
PWJのスタッフは、すべての井戸について、少なくとも5回は訪問しています。これはPWJが特にこだわっている点でもあります。最初の調査(アセスメント)から始まって、村との打ち合わせ、互いの責務を記した覚書の締結、掘削地を決める地質調査、実際に井戸が掘られている間の現場監督、そして、完成後の引き渡しのときに行う井戸管理研修です。完成後、さらに状況確認(モニタリング)のために訪れることもあります。
(C)Peace Winds Japan
井戸を訪問しようとしてもチーフ(長老)が留守だったり、道が悪くて(あるいは無くて)たどり着けなかったり、一筋縄ではいかないことも多くあります。しかし、これだけ時間をかけることで、事業地を選ぶときに犯しがちな過ちを防ぎやすくなります。たとえば、すでに村の中に井戸がある、あるいはすぐ近くに井戸があるのに村がもう1本井戸がほしいと思っている場合です。一度の訪問では、「村には井戸がないので本当に困っている」という声を鵜呑みにしてしまうかもしれませんが、「最短距離にある、ふだん使っている井戸を教えてください」という質問を別々に複数の人にして、その井戸まで案内してもらったり、近所の村に行って情報収集をしたりします。その結果、「あ、こんなところに井戸が!」と発見し、改めて調査をし直したこともありました。
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「村に井戸が1本だけだなんて、人口の多い場所はどうするのか?」と思われるかもしれません。しかし、ユニセフ(国連児童基金)の調査によると、南スーダン10州の中でもPWJが活動するジョングレイ州は水のニーズが最も高い地域です。南スーダンの中でもとりわけ安全な水が手に入りにくく、村に1本も井戸がない、片道2~3時間かけて水くみに行く、という村の方が多いのです。1本の井戸でも、村の人びとにとっては大きな変化なのです。
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「必要な人びとに必要な支援を」をモットーとするPWJとしては、今後も、よりニーズの高い場所に井戸をつくり、支援をさらに有効で、効率的なものにしていきたいと思っています。