【ウガンダ】ジェンダーに基づく暴力予防のために手を取り合って一致団結!
「夫が自分をぶったり、コントロールするのは文化的に良いことだと思っていました。」
「妻が外で浮気するのではと思い、妻が働くことについて否定的でした。」
「妻と家族計画について話すことをためらっていました。」
当たり前のことと思っていた日常生活の一コマが、そうじゃないかもしれないと気付くこと、これは変化を導く一歩になります。ピースウィンズ・ジャパン(以下、ピースウィンズ)は、ウガンダ西部のチャカⅡ難民居住地区とナチバレ難民居住地区にて、災害や感染症の影響を受けた難民ともとからその地区周辺に住んでいた人びと(以下、ホストコミュニティ)の妊産婦死亡率やジェンダーに基づく暴力を減らすための啓発活動に取り組んでいます。この事業は、国連人口基金(United Nations Population Fund 以下、UNFPA)から資金提供を受け、ACORD Ugandaという現地のNGOと協力しながら実施しています。
啓発活動のはじめの一歩は、難民やホストコミュニティの人びとに、「性と生殖に関する健康と権利とは何なのか」、「ジェンダーに基づく暴力とはどのような暴力なのか」を伝え、自分たちが仕方のないことだと耐えていたことや普通のことだと思い込んでいたことに実は問題があると気づいてもらうことです。次に、その問題への対応方法を知ってもらいます。大事なことは、この性と生殖、ジェンダーの問題は、年齢にも、そして性別にも関係なく、すべての人にかかわると理解してもらうことです。そのためには、そうしたことを伝えていく人の育成と、定期的に学びなおす機会を設け人びとが理解を深めていけるようにすることが必要です。そこでピースウィンズは、思春期の女性と男性、保護者、そしてすでにコミュニティでそうした問題の啓発活動や相談に取り組んでいる大人の男女(以下、コミュニティ活動家)を対象に、人びとが今持っている知識をさらに深めるためにトレーニングを行いました。冒頭にあげた言葉は、そのトレーニングを受けた人びとから聞かれた声です。
トレーニングを終えたコミュニティ活動家たちは、家庭訪問や対話の機会を設け、コミュニティの人たちに、「早婚もジェンダーに基づく暴力であること」、「男性もジェンダーに基づく暴力の被害者になる可能性があり、報告することが大切だということ」、「性的暴力だけでなく、身体的暴力や経済的暴力といったさまざまなジェンダーに基づく暴力のかたちがあること」などを伝え、コミュニティからジェンダーに基づく暴力をなくすために、一緒に意識を変え、共に行動にうつすことを働きかけています。
もちろん、生活に根差したこれまでの価値観を変えていくことは簡単ではありません。10月に行ったコミュニティ活動家全員が参加し、課題などを共有して解決策を話し合うメンターセッションでは、コミュニティ活動家のひとりが、「ほかのコミュニティの人びとが自分たちの活動に敬意をはらってくれていないように感じます。」と吐露しました。これに対し、ピースウィンズのスタッフが、「コミュニティの人びとから、コミュニティ活動家に感謝する声が届いています。ひとりひとりの活動が、誰かの生活を守っていることに自信を持ってください。」と話すと、緊張していたコミュニティ活動家の表情が、照れくさそうな笑顔に変わり、セッションの参加者から自然と拍手が起こりました。
この事業は、12月まで行われます。事業が終わった後も、コミュニティ活動家はじめ、この事業でトレーニングを受けた人びとが、ほかのコミュニティの人びとに対して啓発活動を続けていけるように、残りの事業期間も、ピースウィンズはひとりひとりの課題に寄り添います。
本事業は、日本政府ならびにUNFPA資金、そしてみなさまからの温かいご支援によって行われています。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。