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私たちの活動

新しい国の困難 ~目の前にある「平和」を守ることの難しさ~

2013年12月15日夜、南スーダンの首都ジュバにて政府軍内の抗争が始まり、それまで平穏だった街の空気が一変しました。
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の日本人スタッフが住むホテル付近でも銃撃戦が繰り広げられ、戦車など武装車両が入り乱れた市街戦となり、電気もなくインターネットもつながらない環境の中、日ごとに不安が高まっていきました。
その後、PWJの活動地域であるジョングレイ州にまで戦闘が飛び火し、州都のボーに孤立状態となった日本人スタッフ1名は、命からがら国連のヘリコプターで脱出しました。
「18日の朝、車で外に出たときには、道沿いに多くの兵士が歩いており、兵士に睨まれながら国連基地まで避難した。」と語るのはPWJ長村。
脱出の前に長村が事務所に寄った時には、南スーダン事業開始当時から勤務する現地スタッフのピーターが「事務所の警備を続けた方がいいのか、逃げたほうがいいのか?」と指示を求めるほどに、全てが混乱状態となっていました。
現地の通信状況も悪い中、現地スタッフの安否確認もままならず、安全確保を優先して日本人スタッフの国外退去が完了したのは12月22日のことでした。
その後、ボーの町は政府軍と反政府側の双方がしのぎを削る激戦地となり、制圧と再奪還を繰り返す戦火の中、町の人口の大部分が国連部隊の駐屯地内や、他の州へと避難する事態となっています。

ボー上空
写真:上空から眺めるボーの街並み

国連人道問題調整事務所(UNOCHA)によると、これまでに少なくとも同国全土で1,000人以上が死亡しました(2014年1月24日現在)。PWJの支援地であるジョングレイ州をはじめ、各地で合わせて60万人以上の避難民が発生するなど、状況は深刻化しています。
治安状況の悪化を懸念して国内外に逃げる人びとの数は膨れ上がり、隣国であるウガンダには5万人以上の南スーダン人がバスや徒歩でたどり着いているといいます。その中でも一番大きな避難民キャンプであるアジュマニキャンプでは4万人以上の人々が十分な水も食料もないキャンプ生活を余儀なくされています。このキャンプにはジョングレイ州から逃げてきた人びともおり、400kmの距離を着の身着のまま何日もかけて歩いてきた人もいるようです。人々は木の下にビニールシートを張ったり、身体をビニールシートで覆って過ごしており、先行きの見えない自国の行く末を不安な面持ちで見守っています。
居住環境濁った水r
写真左:キャンプ内の木の下にビニールシートを張って暮らす人々
写真右:キャンプで使われる濁った古い井戸からの水
同国の情勢はなお不透明で、日本人スタッフが現地に戻って活動を再開するためには、様々な困難が予想されますが、PWJは今後もスタッフの安全確保を最優先しながら、南スーダンの国内外の避難民に向けた支援を続けていきます。
※本支援は、ジャパン・プラットフォームからの助成や、皆さまからのご寄付により実施しています。

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