コレラの脅威とPWJの対応
ハイチ政府が正式に発生を発表した10月20日以降、一旦は収束の兆しの見えたコレラでしたが、11月初旬にハイチを襲ったハリケーン・トーマスを境に、その脅威は拡大し続けています。
コレラ−コレラ毒素を産生するコレラ菌によって発症。菌による小腸の感染症により激しい下痢嘔吐が引き起こされ、急速な脱水症状を引き起こします。治療が受けられない場合、脱水症状により血圧低下や意識障害などを引き起こし、死へとつながります。
元来、ハイチの衛生環境は十分整備されておらず、ハリケーン・トーマスによる水害で衛生的な飲料水やトイレ施設の確保が一層困難となり、コレラの感染拡大を引き起こしました。
11月23日付け保健省の発表では、入院25,248件、死者数1,415名。感染者は、当初感染が確認されたハイチ北部に加え、首都ポルトー・プランスでも多数発生しています。
コレラ感染に対応するべくハイチでは36のコレラ治療センター、60のコレラ治療ユニット(コレラ治療センターよりも小規模で応急処置的な治療を行う施設)が設置され、コレラ患者の治療をはじめ、患者家族やコミュニティへの感染拡大防止などを行っています。
しかし、こうした対応も現在のコレラ感染拡大に対して十分とは言えず、加えてコレラ感染は未だピークを迎えていないと言われています。
コレラ感染への対応としては、急激な脱水症状を起こしている患者に対する治療に加え、感染の予防がとても重要です。ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は現在、コレラ対策の啓蒙活動として、支援先の学校への手洗い慣行奨励のポスター配布や、脱水症状の治療に用いられる経口補液(食塩とブドウ糖を混合し水に溶かしたもの)の作り方などを含めた資料配布を行っています。
また、ハイチでは政府や国際援助団体が教育や衛生など異なる分野を越え、協力してコレラ対策を行っており、今後PWJとしても、他の国際援助団体と協力しつつ、コレラ対策を引き続き行っていきます。