本場スイスで災害救助犬の訓練を学ぶ
夢之丞たち4頭の子犬が災害救助犬候補としてPWJにやってきてから、早くも5カ月半がたちました。犬たちはそれぞれのレベルに合わせた「しつけ」や「訓練」を通して日々成長しています。
私たち訓練士2人は今年3月に救助犬訓練の先進国であるスイスに渡り、レスキュー団体「REDOG」での研修で、本場の訓練を見学してきました。その研修の最中、3月11日の東日本大震災発生のニュースが飛び込んできました。REDOGのメンバーは地震発生後すぐに招集され、被災地に出動しました。
災害救助犬が育っていたら、自分たちがいち早く救助に駆けつけたいところでしたが、スイスでの研修でできるだけ多くの知識を習得し、一日も早い災害救助犬の育成にさらなる努力と精進をしようとの決意を新たにしました。
REDOGはスイス国内でも災害救援の分野で豊富な実績をもつことで知られ、訓練士、救助犬ともに知識、技能が優れています。私たちはREDOGの訓練を1週間見学しました。内容は、被災現場を想定したガレキの山での犬のレベルに合わせた捜索訓練、雪 山での雪崩遭難者の捜索訓練、それに技能確認のため定期的に開かれるテスト会などです。
写真右:被災現場を想定した訓練
(c)PWJ
REDOGのメンバーはいとも簡単に訓練を実施し、犬も捜索に精を出して、訓練をこなしていました。一見簡単そうでしたが、毎日の血のにじむような地道な反復練習や、何度も失敗を重ねて得たであろう多くの経験・知識を垣間見ることができました。そして救助犬を育てることの大変さ や難しさを改めて実感し、すぐに日本に戻って夢之丞たちに今回勉強したことを教えたくなりました。
帰国後の4月13日には災害救助犬訓練センターと、隣接するドッグランが開所し、夢之丞たちは毎日のように広いドッグランを駆け回り、たくさんの人や犬たちと触れ合って、さまざまな経験を積み重ねています。最近は4頭ともそれぞれ豊かな個性を見せ始めたので、これからもその犬の個 性などを生かしつつ、トレーナーも一緒に成長していきたいと思います。
開所式の様子
(c)PWJ
冬を越え成長した4頭
(c)PWJ