山間部村落への帰還が開始
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)などがパキスタン北部ムザファラバード近郊で運営している地震被災者のキャンプでは、3月中旬以降、住民たちの村への帰還が始まりました。彼らが住んでいた山間の村にはまだ雪が残っていますが、「春が来る前に村に戻って農作業を始めたい」という住民たちが多く、PWJなどがバスやトラックを手配して、帰還を支援しています。
キャンプは、ムザファラバード近郊のタンドリ地区にあり、「キャンプ・ジャパンプロジェクト」として、ジャパン・プラットフォーム(JPF)参加NGOなどが共同で運営しています。PWJは、JPF参加NGOであるJADE(緊急開発支援機構)とパートナーを組み、自治補完業務(キャンプ・マネジメント)を担当しています。
写真左:仲間たちに見送られてバスが出る(写真提供:JADE/宮崎岳=いずれも)
写真右:村へと帰る被災者
パキスタンの厳しい冬が終わり、春が近づいてくるにつれて、被災キャンプ住民から、自分たちの出身の村に帰還したという要望が寄せられるようになりました。このキャンプに入居している被災者たちの多くは、もともと険しい山間部で生活していた農民たち。春が来る前に村に戻って農作業を開始したいという強い希望を持っていました。そのためPWJなどは、自主的な帰還を応援する形で、村に戻るための交通手段となるバスやトラックの手配などを開始しました。
3月24日、多くのキャンプ住民、カシミール州政府の社会福祉大臣をはじめとする行政関係者が出席するなか、帰還開始のセレモニーが行われました。キャンプの住民からは次々に、今までの支援に対する感謝と自分の村に帰還することの喜びのスピーチがありました。その日に村へ帰還する18世帯、146人には、キャンプ内の小学校や洋裁の職業訓練に出席したことの証明書などがセレモニーの中で授与されました。
写真左:大勢が集まった帰還セレモニー
写真右:荷物を載せた車が列をつくる
(C)Peace Winds Japan
最初の帰還が始まった3月18日からこの日までに、キャンプからそれぞれの出身村に帰還した被災者は30世帯、223人。急な斜面が多い山奥の村では、震災による地すべりで村ごと消滅してしまった地域もめずらしくありません。最大時には250世帯、1661人だった被災キャンプの住民すべてが元の村に帰還するには、まだまだ時間がかかります。PWJは今後、帰還支援に加え、村で住宅を再建するときに重要な、耐震技術などをテーマにしたワークショップ(研修会)を開くことを計画しています。
*PWJのパキスタン支援事業は、ジャパン・プラットフォームなどの協力を得て実施しています。