新たに貯水池修復と酪農家支援を開始(その2)
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、東部トリンコマレ県での生計支援として、初年度は公営ミルク工場の支援を行いました。その後、工場は順調に生産量を上げています。
▼前回の現地活動ルポ
https://global.peace-winds.org/jp/act/srilanka/120515_1200.html
この工場に対する支援とともに、事業1年目には、工場周辺の小規模酪農家(※)52名に、酪農研修を行いました。研修では、スリランカ政府が現在推奨している飼育管理技術を指導しました。
(※1~10頭程度の牛を所有して自給自足程度、あるいは生計の足しとして酪農を実践している人びと。)
研修参加者の一人、タニハーサラムさんは「牛舎を使って水と牧草を牛にやり、一日2回搾乳するという方法で、牛乳の質と量がぐっと上がることを学んだよ」と言います。うれしいことに、タニハーサラムさんを含め、何人かの研修参加者が、学んだ飼育管理法を実践したいと意欲を見せてくれました。しかし、長年の避難生活により疲弊した彼らの経済状況では、実践するための初期投資を賄うことは難しい状態にありました。そこで事業2年目では、やる気のあるこうした酪農家をサポートするべく新たな取り組みを開始しています。
具体的には、村で酪農家組織を作り、小規模酪農家同士の学び合いや助け合いを強めて、村にこの新しい飼養管理法を広めることを目指しています。
プロジェクトでは今年、4つの村の酪農家組織をサポートします。各組織5名程度の「コア・ファーマー」を組織から選び、牛舎や牛、飼葉といった初期投資を行います。牛からの牛乳産出量が増えて所得が増えるごとに、初期投資額のおよそ半額を酪農家組織に返還してもらい、この返還額で他のメンバーが必要な初期投資を行えるような体制を整えます。
これらの小規模酪農家は、先行事業で支援した公営ミルク工場のミルク供給元にもなり、PWJの支援は、酪農世帯の自立と地域の酪農業の復興にも貢献しています。
*本事業は、外務省「NGO連携無償資金協力事業」による資金や寄付金などにより実施しています。