【東ティモール】サイクロン・セロージャ被災者支援ルポ
ピースウィンズ・ジャパン(以下PWJ)は今年6月からジャパン・プラットフォームの助成金による「サイクロン・セロージャの被災者に対する物資配布および生活インフラ修復事業」を東ティモールで実施しています。
今年の4月、東ティモールに接近したサイクロン・セロージャにより全国で大雨が続き首都ディリを中心に河川の氾濫や土砂崩れが全国各地で発生。3万世帯を超える人びとが被災する大災害となり、一時は1万5千人以上が避難所での生活を余儀なくされました。
PWJは洪水発生の翌日より被災者への支援と被災状況・ニーズ調査を開始し、米やインスタント麺、ビスケットなどの食料物資の配布、避難所やコミュニティへの給水車の配車による給水支援、コミュニティ内の生活道路修繕を実施し、二週間で1451世帯への支援を行いました。
各集落や避難所を訪問する度に今回の災害による被害の大きさを目の当たりにしました。被災者の多くが浸水や土砂流入の被害を受け食料や日用品を失ってしまったために、着の身着のままで生活せざるを得ない状況で、食料や日用品が不足していることがうかがえました。また、河川の氾濫や大雨でダメージを受けた道路や河川の修復も市内の幹線道路や大きな河川の修復が優先される為、集落内の小道や、集落と幹線道路を結ぶ道路の改修は後回しとなっており、土砂やがれきに埋もれたままとなっていました。その結果、普段使っている道が通れなくなった被災者は遠回りをして支援物資を受け取りに来たり、川を渡って物資を運んでいました。また、食料の買い出しや通勤・通学など住民の日常生活にも支障が出ていてることに加え、土砂やがれきが道路や河川から撤去されないままでは次の雨季に降る大雨で再び河川の氾濫や家屋の浸水を招くことも懸念され、道路や河川の修復を求める声が数多くありました。
普段使っていた生活道路が土石流で埋もれ、通行が困難になったため受け取った物資を川の中を渡って持ち帰る被災者。
土砂崩れにより土砂で住居が埋もれてしまった被災者に聞き取りを行うPWJスタッフ。
被災状況・ニーズ調査をもとに限られた物資で生活を続ける被災者の生活をサポートするために何が必要とされているか話し合った結果、災害で多くのものを失ってしまった被災者へ食料・生活用品の配布と、被災したコミュニティの住民たちの力だけでは解決することが難しい道路や河川の補修といった生活インフラの修復支援を実施しました。
①生活用品の配布
東ティモール政府災害対策本部と協力し、政府や各支援団体の行う物資支援を受けとることができていなく、かつ大きな被害に見舞われたディリ市バイロ・ピテ地区とモタエル地区の4集落892世帯に米やインスタント麺といった食料と、マットレスや調理器具など生活用品を届けました。
多くの方から「洪水で家財や食料が流されてしまったから、とても助かります。」という言葉をいただきました。
マスクの着用や手指消毒などコロナ感染拡大予防を徹底して配布を行いました。
②生活インフラの修復
東ティモール公共事業省管轄、設備管理機関Instituto De Gestão De Equipamentosと協働しディリ市内24か所の道路や河川の修復作業を実施し、2602世帯が暮らす集落で人や車両の行き来が可能となり、河川からは土砂が撤去され、河岸が修復されました。
土砂とがれきで埋もれてしまい通行ができなくなってしまった道路をならしていきます。
集落内の生活道路に積った土砂の撤去作業。近隣住民が家の中からじっと見つめる様子からも道路修復作業への期待の高さがうかがえます。
東ティモールのニュース番組にPWJスタッフが出演し本事業が全国に紹介されました。
今回の支援では、それまで支援の手が届かずにいた被災者に物資やインフラ整備といったかたちで支援を実施することができました。
災害から半年がたった今、大きな被害を受けた集落では夕方になると住民たちの笑い声が響き、以前の様な活気が少しずつ戻ってきています。大災害に見舞われても少しずつ元の生活を取り戻す市民のたくましさを感じます。
本事業はジャパンプラットフォーム(https://www.japanplatform.org/)からの助成金によって実施しています。