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コラム&インタビュー

【ウクライナ】3年間戦禍が止まないウクライナ(3)

広報:ピースウィンズ国際人道支援 ジャーナル編集部

「戦争が終わって、大阪万博に行くのが、いまの私の夢です」
ピースウィンズ・スタッフ オレナ・ネジェヴァ インタビュー
 
ウクライナの人々を支援するピースウィンズの仕事を支えてくれるのは、現地のウクライナ人スタッフです。前線に近い東部出身者の中には、東部に残る家族の心配をしながら首都キーウで働く人もいれば、親を呼び寄せた人もいます。また、これまで提携団体の男性が軍に招集されたり、提携団体のスタッフが爆撃で命を落とすなど、戦争の影はピースウィンズの日々の仕事のすぐそばにありました。それでも、昨年秋に私たちのスタッフの夫が軍に入隊することになった時は、日本や隣国モルドバにいるスタッフをはじめ、ウクライナチーム全員が彼女の胸のうちを思って息苦しくなるような痛みを感じました。今のウクライナで家族が軍隊に送り出すとは、どういうことか、スタッフのオレナに聞きました。
 

*心の準備はできていたつもりだったけれど‥‥
 
Q: ビジネスマンだったパートナーが去年軍に入って、生活はどう変わりましたか?
 
A:夫は建設関係のエンジニアなので、そのスキルを活かして国の役に立つことがあると考えて志願して軍に入りました。何度も話し合って心の準備はできていたつもりでしたが、入隊するために荷造りする姿を見た時は、辛くなりました。でも数ヶ月経って、前線ではないところでエンジニアの仕事をしていることがわかり、夜、電話で話もできるので、気持ちはかなり落ち着きました。
 
Q: 電話で話す時の様子はどうですか?
 
A:要塞を作る仕事に関わっているので、仕事はたくさんあって疲れているようですが、専門知識と持ち前のリーダーシップを発揮して順調にやっているようです。
 
Q: 夫の不在を感じるのは、どんな時ですか?
 
A: 仕事のあと、カフェに寄ってさりげない会話をしたり、映画を見たり、そんな日常がないことが時々寂しいと思います。
 
*両親は前線に近い東部の街に
 
Q: 出身はロシアと激しく戦う前線に近い東部の街ですね。ご両親はそこで暮らしているのですか?
 
A: はい。危険なのでキーウに呼び寄せようとしましたが、ふたりとも故郷を離れようとしません。父は早い時期に志願して前線に行き、足に大怪我をして帰ってきました。近くにいた仲間たちは亡くなったので、九死に一生を得たと言えます。でもふたりが暮らすのは頻繁に攻撃を受ける地域なので、心配は絶えません。
 
*印象に残っているプロジェクト
 
Q: ピースウィンズではどのような仕事をしていますか?
 
A: いくつかの大きなプロジェクトが終わって、今は「フェリシモ地球村の基金」の援助を受けて、北部チェルニヒウ州で子どもたちの心のケアを行なっています。加えて、次の事業のための準備や契約などの手続き事務を行なっています。
 

チェルニヒウ州の幼稚園を視察

 
Q: これまでに関わった事業で印象に残っているものは何ですか?
 
A: どれも大切な事業ですが、医療機関が少ない村々を回って女性の健康診断をしたり、心のケアをする巡回医療プロジェクトが強く印象に残っています。出産の後何年も健康診断を受けていなかった女性が検査の結果、癌が見つかってすぐに病院で診療を受けたり、生まれて初めて心理療法士と話をして心の荷物をおろした人がいたり、命を救う意義深い事業だったと思います。巡回医療チームが訪れた場所には、検査を待つ女性たちが乗ってきた自転車の列ができて、検査を受けた人から口コミが広がって「また来てね」と声をかけられるなど、期待されているのを実感しました。
 

巡回医療チームが村々を訪れた

 
*「忘れられていない」と思えることは希望
 
Q: あなた自身にとって、人道支援の仕事はどんな意味がありますか?
 
A: 私が関わっているのは事業の一部で、大海の小さな一滴くらいでしかありません。それでも、毎日悲しいニュースを見て泣くのではなく、私にもできることがあると思えるのは心の支えになっています。大切な仕事の一翼を担って、ウクライナの人びとの助けになっていると思えることは、私の糧になっています。
 
支援をしてくださる日本のみなさんには本当に感謝しています。クラウドファンディングで寄付が集まっていくのを見るのは希望につながります。「私たちは忘れられていない」と思えるのです。戦争が終わったら日本に行きたいです。夏の大阪万博に行くのが、いまの夢です。

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WRITER
広報:ピースウィンズ国際人道支援 ジャーナル編集部
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