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コラム&インタビュー

3年目に入るウクライナ危機(1)─ ウクライナ復興会議に期待すること─

広報:ピースウィンズ国際人道支援 ジャーナル編集部

インタビュー:片山芳宏・山﨑有紗

ウクライナの復興に関する会議「日・ウクライナ経済復興推進会議」が2月19日に東京で開かれます。ウクライナからはシュミハリ首相が来日するのをはじめ、企業や研究機関なども参加して、ロシアの軍事侵攻で破壊されたインフラの修復など幅広い分野で戦後復興に向けた日本との協力が話し合われる予定です。NGOの立場からこの会議に出席する前モルドバ大使で現ピースウィンズ・ジャパン上席顧問の片山芳宏と、キーウ国立大学で学んだウクライナ支援チームの山﨑有紗に会議に期待することを聞きました。

片山(右)と山﨑
戦死した兵士の数の旗が掲げられている独立広場

ウクライナとの関わり

──ウクライナとの関わりから聞かせてください。

片山 1980年に外務省に入省し、ルーマニアやアメリカの大使館や総領事館での勤務を経て、2004年7月に在ウクライナ日本大使館の経済担当参事官として着任し、2008年4月までウクライナに駐在しました。ロシア寄りの政権から民主的政権に移行するオレンジ革命の時期で、ウクライナは希望に満ちていました。その後、外務本省勤務やケニア駐在などを経て、2020年1月にモルドバ大使に着任しました。2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻した時は、隣国に駐在する大使として邦人保護はもちろん、ウクライナと周辺諸国を支援する日本政府の代表として国際機関との調整なども行いました。非常に緊迫した日々でした。

山﨑 私は大学で紛争解決学とロシア語を学ぶうち、2014年に東部と南部でロシアの侵攻を受けた被害者であるウクライナの人に寄り添いたいと思い、キーウ国立大学に1年留学しました。2019年のことです。当時のキーウではあまり緊張感を覚えることはなく、穏やかな留学生活を送ることができましたが、よくよく話を聞いてみると友達の実家が東部にあって家族が大変な思いをしているとか、ホストファーザーが徴兵された経験を話してくれるなど、やはり戦争の影はありました。

2019年留学中のウクライナにて

──山﨑さんは2022年2月のロシアによる侵攻の時はどこにいたのですか?

山﨑 日本に戻って卒業論文を書いていました。ホストファミリーや友達が心配で、彼らの安否を確認して、私に何ができるのか考えました。日本に避難してくる友人を支援して、半年くらい我が家に滞在した人もいます。学生でしたからできることは限られましたが、日本に残ることを決めた友人が自活できるよう仕事探しをサポートするなど、精一杯できることを何でもやりました。

復興会議に期待することとは

──ウクライナとの浅からぬ縁があるおふたりが今回の復興会議に期待するのは、どんなことですか?

片山 まずは日本で復興会議が開かれることを歓迎したいと思います。不幸にもロシアからの攻撃が続いている状況ですが、そんな中でも日本政府や日本の経済界がウクライナの復興に向けた努力を支える意欲を示すことは重要です。というのも、第二次世界大戦の廃墟から立ち上がった日本は、ウクライナが復興するプロセスで必要になる情報や知見を持っているからです。ウクライナの復興援助は、第二次大戦後にアメリカがヨーロッパを支えたマーシャルプラン並みの規模のプロジェクトになるとの見積もりもあります。日本企業が能力を発揮すべきところだと思っています。

NGOだからこそできること

──NGOだからこそできることは何でしょう。

片山 ピースウィンズをはじめ、日本のNGOはすでにウクライナや周辺国でプロジェクトを重ねて多くを学んできています。何より、地元NGOとパートナシップを組んで関係性を築いています。こうした積み重ねは、この先いっそう力を発揮すると思います。

──山﨑さんは、どんなことを期待していますか?

山﨑 ウクライナの友人たちは、日本に対して「夢の国」という印象を持っています。戦後の廃墟から復興して夢のような国を築いたと。「日本にできたのならウクライナにできないはずがない」という言い方も聞いたことがあります。そう思ってもらえる日本だからこそできる寄り添い方があると思います。逆に、日本がウクライナから学ぶこともたくさんあると思っています。とりわけ、ウクライナ女性の優秀さと逞しさと優しさから私たちが学ぶことは多い。復興会議では、ウクライナの女性たちが活躍できる土壌を整えるという視点も持ってもらえるといいなと思います。

プロフィール

片山芳宏
広島県出身。立命館大学卒業後、外務省入省。ルーマニア、カナダ、アメリカ、ウクライナ、ケニアの大使館・総領事館で勤務。外務本省では安全保障や地球環境問題などを担当。駐モルドバ大使を最後に退官後、2023年5月からピースウィンズ・ジャパン上席顧問。近著に「モルドバ大使からの報告ー国際交流分野を志す若者の皆さんへー」がある。

山﨑有紗
東京外国語大学で紛争解決学を専攻し、1年間ウクライナ・キーウ国立大学に留学。帰国後、卒業論文を書いている時にロシアがウクライナ侵攻。日本に逃れてきたウクライナの知人・友人を個人的に支援。修士号取得後、2023年秋ピースウィンズ・ジャパン入職。学生時代に、ウクライナの象徴であるひまわりの絵を描いてSNSに投稿して寄り添う気持ちを届けるプロジェクト#Sunflower From Japanを立ち上げた。

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広報:ピースウィンズ国際人道支援 ジャーナル編集部
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