『TICAD9』閉幕。その後の「JICAアフリカ・ホームタウン」報道を受けて


TICADとは、アフリカ開発会議(Tokyo International Conference on African Development)の略称で、アフリカの開発をテーマとする日本の外務省が主催する国際会議です。一般の人にはなじみがないかもしれませんが、2025年は9回目となり、TICAD9は8月20日~22日まで横浜で開催されました。
私たちピースウィンズジャパンも、8月20日にテーマ別サイドイベント「映像が伝える難民支援の最前線」を開催し、ケニアで行っている難民支援を紹介しました。また、日本貿易振興機構(ジェトロ)が主催した隣の会場で行われた「TICAD Business Expo & Conference」では、194社・団体がそれぞれのビジネスや技術を展示。日本とアフリカの官民を挙げての関係の盛り上がりを感じる、非常に貴重な機会となりました。
「JICAアフリカ・ホームタウン」とは
TICADに関連して、日本の外務省からアフリカ関連の支援に関する発表などが続いていましたが、JICA(独立行政法人国際協力機構)からは日本の4都市を「アフリカ・ホームタウン」認定する旨が発表されました。
「JICAアフリカ・ホームタウン」とは、アフリカの課題解決と日本の地方活性化に貢献することを目的に、各市に対して人材交流や連携イベントの支援などを通じて国際交流を後押ししていくというもの。山形県長井市がタンザニア、千葉県木更津市がナイジェリア、新潟県三条市がガーナ、そしてピースウィンズの事業地でもあるモザンビークは愛媛県今治市の4都市が認定されましたが、各市を「ホームタウン」とするという発表を受けて、さまざまな憶測が飛び交う事態となりました。
JICAは、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関です。25日にはアフリカ現地紙による報道や現地政府の発信に誤解を招く表現があったとして、移民の受け入れ促進および相手国への特別な査証の発給は想定していないことを明示したリリースを配信しました。
アフリカ・モザンビークの過酷な現状

今回の報道を受け、初めて「モザンビーク」という国の名前を聞いたという方も多いのではないでしょうか。
ピースウィンズ・ジャパンは、2021年から現在まで、低強度の紛争が続き、最大で95万人が避難を余儀なくされたモザンビーク北部で人道支援を続けています。モザンビーク北部では2017年から国内紛争が続いており、2024年2月に続き、今年7月にも武装勢力による村への大規模な襲撃が発生。5万人が家を失い、国内避難民となって故郷を追われ、現在は政府が定める「再定住居住地」に避難しています。

ピースウィンズは7月29日から、こうした人びとへ給水衛生支援を行っています。具体的な活動内容は以下の通りです。
●トラックによる給水支援
●サバイバルキット配付
●手洗い場の設置
●啓発活動、トイレの清掃
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国内紛争が続く中、2024年12月には同地がサイクロン被害にもあい、モザンビーク北部は複合的危機と言われる状況下にありました。美しい青い海と白い砂浜が続き、観光地としても人気のカーボデルガード州は、石炭・天然ガス・ルビーといった天然資源も豊富でこうした背景が紛争の複雑化の一因となっています。
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終わらないテロ攻撃。避難が続くモザンビークの人びとへ緊急支援を

モザンビークは、国際的な支援も減少する中で、まだまだ人道支援が必要とされる場所です。日本にとってはとても遠く感じられる国ですが、ピースウィンズは現地のスタッフも一緒に今も支援を続けています。入口が違うかもしれませんが、今回の報道がモザンビークの過酷な現状を知っていただくきっかけとなり、一人でも心を一緒に寄せてくださる方が増えることを願っています。
